大切なもの-4
◆ ◆ ◆
「返事いつくんだろな〜」
「さぁ…いつだろうな」
昼休み、屋上で俺たちは飯を食べる。
ひろはるは返事が気になって仕方ないらしい。
すまんが…おそらく返事はこないぞ。
来てもよくはないだろう。
昨日の事件を知ってるだけに、ショックを隠せない。
性格悪そうだとは感じたが、あそこまでとは予想外だった。
「なんだよ工藤〜へこんでんな〜何かあったのか??」
…まぁな。
「別に、普通だ」
「そうかぁ〜俺なんて今朝玄関でバッタリ…あいさつしちまった。向こうも返事してくれてさ、うれしかったなぁ」
期待してるお前見てるのもキツいもんだな。
しばらく落ち着くまでは黙っとこう。
宮田リカにはかなりむかつくもんがあるが…。
俺たちは昼食を食べ終え、午後の授業へ向かった。
そして──掃除の時間。
俺は廊下のゴミをはいていた。
行き交う生徒達。
歩く度にゴミが舞い、掃除にならない。
サッサッサ。
サッサッサ。
…よし。
これだけやれば十分だろう。
道具をしまおうとロッカーへ向かう──そのときだった。
…背中から女子の話し声。
顔は見なくても分かる。
宮田だ。
一緒にいるやつの声が昨日と違う。
まさかこいつ…みんなに言い触らしてないだろうな…。
殴りかかりたい気持ちをおさえ、再び掃除をするフリをして、話を聞く。