大切なもの-2
確かにかわいいと思ったが、興味を引くものはなかった。
性格悪そうだったし。
まぁこれは言えない。
「ふぅん…んで、どうすんのよ。話したこともないんじゃないか??」
「関係ないな。今日告白する」
「いきなりか。ひろはる…いくらなんでも早くないか??」
「いや…あの日見て以来ずっと好きでよー…今行かないと後悔する気がするんだ」
おー。
珍しく理屈の通ったことを。
そこまで言われるとな。
俺も何も言えない。
「そうか、それなら悔いが残らないよう頑張ってくれ」
そう言って、ようやく眠れる、と思ったのだが…。
「頼みがある」
またか…。
「何を??」
「彼女を呼び出すための手紙の書き方を教えて」
「書いたことない…」
「一人じゃ不安なんだって」
…。
「分かったよ」
そう言って、おれは立ち上がった。
「…その代わり…今度、飯おごれよな」
◆ ◆ ◆
時間はすぎて放課後。
さぁて、ひろはるはどうしたかな。
教室で帰る準備をしながら、あいつの惨敗ぶりを思い浮かべる。
予定なら今ごろ話してる筈だが…。
待ってるのもなんだし、明日報告を聞こう。
俺は教室を出て、家路についた。