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悪魔に魅入られた少女〜開幕・悲劇〜
【ファンタジー 恋愛小説】

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悪魔に魅入られた少女〜開幕・悲劇〜-1

「キャー!イヤー!」
「助けてー!」
「早く逃げろー!」
「痛いよー!」
「パパー!ママー!どこにいるのー!」
「熱いよー!」



私の周りで子供が泣き叫んでいる。町は炎で覆われている。

そして・・・
私の横には恋人のリーが倒れている。服を赤く染め上げて・・・
しかし、私は悲鳴を上げることもリーに駆け寄ることも出来ずにいた。涙も流せずに・・・
何故ならば・・・


「お前がシャルだな?」
「そ・・・そうだけど・・・」


目の前には黒い霧がかかっていて、それはまるで何かを覆っているかのようで・・・
確かにそこに誰かがいるのはわかるのに・・・
畏怖を感じてしまい私はその場から動けずにいた。


「この町を助けたいか?元通りの町にしたいか?」


私はどこかでこの声を聞いたことがある。どこでかはわからないけど、それは確信を持って言えることだった。


「あ・・・当たり前じゃないか!」


私はその声に何故か少し安心感を覚えてしまっていた。
だからだろうか・・・
畏怖を感じていながらも、自分を強く持っていられたのは・・・


「ならばお前にチャンスをやろう。お前にある条件を与える。それを成功することが出来たら、お前の願いを叶えてやる。」
「条件って・・・?」
「十四年前の世界大戦を終わらせたと言われている五人の勇者がいるのは知っているな?」


十四年前に起こった世界大戦 別名【F・O・Z】

ある一人の青年が引き起こした殺人事件
それがきっかけとなり世界大戦が始まったとされており、五人の勇者によって終わらされたとされている。そして五人の勇者が最後に立っていた場所には、人どころか草木も何一つ残されていなかったことからこの世界大戦を【フィールド・オブ・ゼロ=F・O・Z】と呼ぶようになった。

ただし、誰一人として五人の勇者がどのようにして終わらせたのか知らず、噂ばかりが広がっている。
私の両親は世界大戦で亡くなったと聞かされている。


「その五人の勇者が持っていると言われている宝珠を手に入れろ!あと勇者は始末しろ!それが条件だ!」
「そんな・・・そんな事出来るわけないじゃない!私はただの中学生なのよ!」
「お前はまだ自分の産まれた意味を知らないんだ。」
「産まれた意味って・・・?それにあなた誰なのよ!」
「今はまだ教えるわけにはいかない。」


目の前の誰かと話しているとき、急に霧の向こうから小さな光が見え始め、次第にそれは辺り一面を包み始めた。


「一つだけ覚えておくといい・・・『光が強くなればなるほど、闇も比例して深くなっていく』ということを。」


その言葉を聞いた刹那、私は意識が遠くなっていくのを感じた。失っていくときに倒れていたリーが笑ったのを最後に見ながら・・・


まるで人を嘲笑うかのように・・・


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