怪談話CASE3:『かくれんぼ』-1
「小桃ちゃーん!! あーそーぼー♪」
小学校が終わり、家についた小桃が一息ついていると、外から友達の声がした。
「お母さん!! 遊びにいっていい!?」
当然、まだ遊び盛りである小桃は母に遊びに行って良いか、それを聞いた。
「うーん…良いけど…早く帰ってくるようにね」
心配そうに母親が呟く。
「ほら、最近子供が行方不明によくなってるし…ね」
小桃が住むこの街では、最近神隠し的な事件が多発していた。今月に入ってから一人…二人…と、もう既に4人が行方不明になっていた。
「大丈夫だよ!! じゃあ行ってきます!!」
「早く帰ってくるのよー」
バタンとドアを小桃が開けると、外には友達が数人立っていた。
「小桃ちゃん!! 今日はかくれんぼしよっか!!」
「どこでやるの?」
「うーん…柿竹神社でやろう!!」
「やろうやろう!!」
柿竹神社とは、近所に昔からある神社のことだ。いつ出来たのかは誰も分からないが、初詣には何人もの人が集まる有名な神社である。
数分歩いて神社に到着すると、小桃達は鬼を決めるじゃんけんを始めた。
「鬼は啓太くんだ!!」
「よーし!! みんな隠れろー!!」
鬼が決まると、みんなこぞってあちらこちらへ身を隠した。草木の陰、境内、いろいろな隠れ場所があるので、ここでやるかくれんぼは難しいとして人気があった。
「あたしはここにしようかなぁー」
小桃は、神社の裏に隠れた。ひんやりとしていて薄暗く、まさに絶好の隠れ場所。少し怖い気もするが、楽しさがそれを打ち消していた。
「99〜100!! よし、見つけるぞー」
遠くから友達の声がする。
小桃は、見つからないように身を屈めた。
「あー、見つかっちゃった」
「ちくしょー!! 見つかっちゃった…」
次々と見つかる子ども達。残るは神社の裏にいる小桃だけだった。
「あたしが最後かなぁ…? 最後だったら良いな」
もちろん自分が最後であることを知らない小桃は、周りに注意を配りながら身をひそめた。
何十分か経過し、空もほんのり薄暗くなったその時。
ザッ…ザッ…
背後から足音がする。
見つかっちゃったか、と思い、小桃は後ろに振り向いた。
「…見つかった?…んむ!!」
振り向いた先には、見知らぬ女の子。驚いた小桃は逃げ出そうとするが、女の子とは思えない馬鹿力で止められ、手で口を塞がれた。
「…また一人…」
「んむ!! むぅー!!」
必死に抜け出そうとするが、びくともしない。
「私はいじめられてた」
暴れる小桃をよそに、女の子は淡々と語り始めた。
「ある日かくれんぼに誘われた。私はとても嬉しかった。やっと友達が出来たと思って」
「んー!!」
さらに女の子は続ける。
「私もちょうどここに隠れた。見つからないように。3時間が経っても私は見つからなかった。…よく考えればバカだったわ。普通にさがされてないことに気付くでしょうに」
「ん…う…」
暴れ疲れたのか、小桃も叫ばなくなってきた。