ふぉあしーB〜黄昏に揺れる影〜-9
それから俺達は警察に事情を訊かれ、逆に警察から犯人についていろいろと聞き出した。
それによると男は元自衛官で、サブマシンガンはある密輸組織から手に入れたそうだ。
まあ、どうでもいいが。
そして俺達が解放された時には陽はとうに沈み切っていた。
「咲姫先輩、すみませんでした。せっかく誘ってもらったのにこんなことになってしまって」
「ううん、気にしないで。途中までとっても楽しかったから。また誘ってもいいよね?」
「ええ、もちろん!」
「あの〜私もいるんですけど…」
恵がおずおずと会話に参加しようするが…
「今度はどこに行きます?」
「映画とかがいいな〜♪」
「いいですね、映画」
「ちょっと!無視しないでよ!」
そしていつもの交差点に差しかかる。
「あ、ここまでだね」
「いえ、今日は家まで送りますよ。もう暗いですし」
「そお?ありがと〜♪」
「っていう訳で咲姫先輩を送ってくるから、恵は一人で帰っててくれ」
「え、あ、ちょっと…!」
恵が何か言ってたような気がするが、俺はそれを聞き流して咲姫先輩を家に送り届け、それから帰宅した。
翌朝
何気なく着けたテレビのニュースを聞いて俺は愕然とした。
『昨日の夕方、高速道路でバス…横転…乗っていた15人の子供…全員死亡…バスはスペースマリンランドからの帰りで…』
15人の子供…
それは昨日俺が助けた、いや助けたと思い込んでいた子供達に違いない。
結局俺は『因果』を変えることができなかったために子供達を助けられず、昨日の俺の行為はただの自己満足に終わってしまったのだ。
俺は“あの時”以来、俺の『視える』範囲での人の命はできるだけ救おうと心に誓っていたのに…
そう、“あの時”以来…