モロクロくん。-2
「幕を閉じろ。終わりを認めろ。捨て去れ。忘れろ。腰抜けくん!」
なんでそんな事まで言われなくちゃいけないのだろう。
僕はだんだんと腹が立ってきた。
「人の思い出を汚すな!僕の勝手だろ。過去をどう思ったって僕の自由だ!ほっといてくれ!」
モロクロくんはフフンと笑って消えてしまった。
消える前にこう言い残して…
「過去はモロいモノクロの世界なんだ!そこに息吹きは吹かないから。おまえは生きながら死んだままだ。過去に張りついたままじゃおまえは生きているとは言えないから。
モロい過去のようにおまえの今も空しく過ぎ去っていくだけだから。
よく見ろ!今を。
諦めんのは確かに辛いかもしれないが、だからなんだ!
呼吸をしろ!今を吸い込め。生きた実感を感じろ。
無駄にするな。」
そっか……
モロクロくんは過去の声。過去の自分自身。
だから心配して出てきたんだろう。
過去の自分に心配されるなんて…
胸がチクリとした。
その穴が空気孔になればいいな。
過去を吐き出して今を吸い込む呼吸をするために。
僕はパタンと写真たてを倒してみた。
僕は進めるだろうか。
明日へ。
今を泳いで。
答えはまだわからない。
だけど思いっきり深呼吸してみた。
気持ちは確かにほんのちょっぴり軽くなった気がした。