闇よ美しく舞へ、演目別舞台 『座敷童子』-2
そんな贈り物だらけで飾られた部屋を見て僕も、
「なんだかクリスマスと正月がいっぺんに来た様な所だなぁ」
そんな事を不と漏らして言ったりもする。
どうやらイメージとは違っていたが、これはこれで誌面を飾れるだろうと、望月は早速、自慢のニコンで写真を取り巻くっても居た。
僕も興味がない訳では無いが、それよりも何よりも、東京からの長旅で疲れもしたのだろう、身体が重くて仕方がない。そればかりが気に掛かりもする。
「出るか出ないかはさておき。今日は疲れた。僕は先に寝させてもらうよ」
「えっ! 龍神(たつがみ)さん、もう寝ちゃうんですか!?」
そう言う望月には眼もくれず、ぼくは急々(いそいそ)と、用意されていた布団へと潜り込み、就寝を決め込むのだった。
〜〜〜〜〜
部屋の物色に飽きた望月は、しばらく部屋を離れ、どこかへ行っていたようだ。深夜の0時近くになると赤い顔して、また部屋へと戻って来ていた。どうせ今まで他のスタッフ達と飲み明かしてでも居たに違いない。
その望月も酒に酔ったせいか、部屋に戻るなり、バタンキューと布団目掛けて倒れこむと、そのまま気持よさそうに、高いびきである。いったいこいつは此処に何しに来たと言うのか。
僕はそんな望月の酒臭い息を背中に感じながらも、薄目を開けて、薄暗い部屋の中を見渡していた。
正直早く寝る、なんて言ったわりには、どうにも寝付かれない。なんども寝返りを打ちながら、気が付くと床柱(とこばしら)の上に掲げられている古い柱時計が2回、”ボーンボーン ”と、薄気味の悪い音を鳴らしていた。
「もう二時かぁ。座敷童子くんも出るなら早く出てくれないかな」
僕はそんな事を呟きながらも、薄っぺらな掛け布団を頭から被っていた。
しばらくしただろうか。
”ベキッ”
生木をへし折る様な音に、僕の身体も一瞬震え上がる。
僕は僕の枕元に誰か居るような気配を感じると、慌てて被っていた布団を剥ぎ、飛び起きようとする。……が。
「かっ身体が動かない……」
頭では上半身を起こしている感覚があるのに、身体は全く動いていない。僕はまるで石の様に硬くなり、足の指一つ動かせない状態だった。
「これが金縛りってやつか」
可笑しい。こんな状態を冷静に分析している自分が可笑しい。そう思いながらも、恐怖に震えもする。
それでも僕は唯一動かせる眼を横に振り、隣で寝ている望月の顔を見やりもする。どうやら彼はこの異変に気づいてはいない様子である。あるいはこの現象は僕だけに起こっているのか、彼は気持よさそうにいびきを掻いていた。
また僕は瞳を動かし、今度は頭の上の気配へとその視線を向けた。
誰かが居る。誰かが僕の枕元に居て、ジッとこちらを伺って居る。そう感じた瞬間、僕は心臓が止まりそうなくらい、驚いてもいた。