HAPPY LIFEH-1
「おはよ〜!」
ちょうど教室に入ろうとした瞬間、早絵に呼び止められた。
「おはよ、早絵。朝からハイテンションだね。何かいいことあった?」
「ふふっ…別に〜」
明らかにごきげんな早絵。
なによ、もったいぶっちゃって。早絵のことだからきっと彼氏と仲直りしたとか、プレゼントもらったとか、そうゆうことだろうな。
「あれ…明日香、顔赤いよ?熱でもある?」
「そうかな?」
でも言われてみれば、今朝ちょっとダルかったな…カゼかな。
「保健室行く?」
「ん〜どうしよっかな…」
「行け」
椅子に座りながら荷物を置くと、後ろから突然話しかけられた。
驚いて振り向くと、雄大が立っている。
「たいしたことないから大丈夫だよ」
「そんなこと言ってまた倒れても知らねぇぞ」
ううっ…。
「明日香、せっかくだから渡辺君に連れてってもらいな。私、夕里と用事があって一緒に行ってあげられないからさ…よろしくね?渡辺君」
続けてそう言うと、早絵は教室を出て行ってしまった。
えっ?
「…っ、いいよっ!一人で行けるし」
そう言って立ち上がろうとしたけど、うまく足に力が入らなくてまた座り込んでしまった。
「…ほら。行くぞ」
そう言って雄大は私の手を取って歩き出した。
頭がボーッとするのは熱があるせいかな。
…それにしても朝から堂々と手つないで歩くなんて、よくやるよ。あぁ…明日から桜栄祭なのに、何やってんだろ私。
いろいろ考えてるうちに保健室に着いた。
雄大の後に続いて中に入ると、仲川先生が慌ただしく動いている。
私達が入って来たのに気がつくと、困った表情が一気に明るくなった。
「ちょうどいいところに来てくれたわ。渡辺君、ちょっと留守番しててくれる?30分で戻るから。じゃぁよろしく!」
そう言い残してバタバタと出て行ってしまった。
そうそう、雄大は保健委員なの。桜栄祭実行委員は期間限定だから、掛け持ちしてる人がほとんど。ちなみに私は放送委員。
「すごく慌てて出てったけど何かあったのかな?」
「さぁね」
雄大は引き出しから体温計を取りだして私に手渡す。
「ありがと」
それを受け取ると、ブラウスのボタンを二つ開けて脇に差し込んだ。
1分程でピピピッという音がなり、取り出して見ると38℃もあった。