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手紙〜言えなかったさよなら〜
【家族 その他小説】

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手紙〜言えなかったさよなら〜-1

俺ね、今年で19になるんだ。


あれからもう5年?いや、もっとかな…


長いようで短い間があったなぁ


ぶっちゃけた話コレ書こうと思ったのは単なる思い付きなんだけどさ


あの世か、もしくはどこかでコレを読んでくれたら俺は嬉しいです


あなたのために書いたから…


【手紙〜言えなかったさよなら〜】


覚えてるかい?バアチャン。ウチの親は共働きだったから、俺ら兄弟みんながバアチャンん家に預けられとったよね。でも俺が預けられてた期間が一番長くってさ。一番世話になったよね。まずは、"ありがとう"って言いたいかな。


バアチャンはさ、俺が物心ついた時から足引きずって歩いてたよね。でも、あの頃の俺はホントにチョコチョコ歩きでさ、歩くペースは全く同じだったの。今はもう無くなった風景だけどさ、虫がいっぱいついとったキャベツとかあった畑とか、お隣さん家の恐かった犬とかさ。あの頃はずっとバアチャンになついてたよね。そいでもって色んなトコよく歩いたね。ホントに楽しかった。あと、なんかバアチャンさ、意味分からん料理をよく作ってたよね。味は悪くなかったけど組み合わせとか最悪。俺今一人暮らししてんだけどさ、バアチャンに似て気付いたらそういうのやってた。でも楽しいから辞めらんないの。成功した時とか嬉しいし、自分だけの料理になるやん。てかね、あなたが育てた俺だからさ、他にもバアチャンっぽいトコいっぱいあるよ。もうアレやん!!俺って軽くバアチャンの分身もしくは弟子やね。だったら一番弟子になってる自信はあるよマジで。


俺ね、バカたれやから、どんだけバアチャンに愛されとった孫だったのかバアチャンがいなくなってから気付いたの。いつも俺の味方をしてくれてたから俺は色んな勇気がついたし、いつも大声で俺の名前を読んでくれてたし、俺が行きたいと思った場所には歩いてついて行ってくれてたし、俺はそのおかげで幼稚園でイジメられてたり、友達が一人もいなくても悲しいとか辛いとかあんまり思わなかった。


俺が小学校に入ってからしばらく経ったら、バアチャン家じゃなく俺は一人で家で留守番っつーか、この場合なんて言ったらいいんだろ?分かんないや。とにかくバアチャン家にあんま行かなくなったよね。でも、バアチャンは気になって歩いて家まで来てくれてた。だから、俺は一緒に住んでなくても寂しいとか思わなかった。


そんなそんなで俺は成長していってさ、俺は中学生になって陸上部に入ったんだよね。バアチャンは走って競うことを『かけごろ』って言ってたけど俺はそのかけごろをする部活に入ったんだ。理由は色々あったんだけどさ、やっぱ物心ついた頃から足を引きずっていたバアチャンの代わりに俺は走りたかった。今じゃあ走るの大好きだよ。バアチャンもホント喜んでたよね。


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