俺と俺様な彼女 〜2〜-1
あの告白から一週間・・・
「ふう。」 いつもより早く学校に着いた俺は、ぼんやりと空を眺めていた。
「いい天気だねぇ。」 そんなことをつぶやいてると、
「おーす、おはよう。今日は早いな。」
来たよ、うざいやつが。
〜手をつなぐのも命がけ〜
「ああ、おはよう、憲一。」
こいつは奥野憲一。太田結衣こと結衣の彼氏でもある。そして次が問題なのだが俺とこいつは幼馴染なのだ。いや、腐れ縁のほうがあってるか。
幼稚園から小中、あげくに高校まで一緒とわかったときには、もう俺とこいつは結ばれてると思ったね、ぶっとい鎖かなんかで。
こいつが女だったら良かったんだよ。そうすりゃ王道パターンの可能性も有りだ。でも男。右からみても左から見ても男。しかも若干顔がいいからたちが悪い。
男の幼馴染とかもう最悪だよ。人が忘れてるような過去を覚えてたりするし。しかも無駄に元気があるからなおうざい。いい加減死なねぇかな、こいつ。
「どうした、人の顔ぼんやり見つめて。」
「いや、そろそろ死んでくれねぇかなぁって。」
「朝から喧嘩売ってんのか、てめぇ。ぶっころすぞ。」
「冗談だよ。お前も今日は早いな。」
「ああ、たまたま信号にひっかからなくてよ。そういやお前結構噂になってんぞ。」
「噂?」
「月宮先輩と付き合ってるってことがだよ。」
「ああ、それね。」
「いったいどんな告白したんだよ。いままで全然男と付き合う気配すらなかった月宮先輩がいきなり初対面のお前と付き合うなんて。」
「・・・倒置形。」
「は?何?」
「いやいい。気にするな。」
「ふ〜ん、ま、いいや。ところであの先輩とどんな話とかしてんだ?」
「そうだな、例えば・・・
〜ケース1〜
『先輩、何読んでるんすか?』
『別に。ただの文庫本よ。』
『面白いですか?』
『そうね、少なくともあなたよりは面白いわね。』
『・・・』
とか、
〜ケース2〜
『な〜んか、最近学校にも慣れたせいか、面白いこととかがないんですよ〜』
『だったら鏡でも見てれば。』
『それはどういう・・・?』
『私があなただったら小一時間は笑えるわよ。』
『・・・』 だな」
「・・・お前それ本当に付き合ってるのか?」
「言ってて俺もわからんようになってきた。」 ちくしょう、涙出てきたよ。
「おはよう。」
「ああ、結衣か。おはよう。」
「おはよう。ぐすっ。」
「何の話してたの?」
「いや、こいつが月宮先輩とどんな会話してるのか気になってたから聞いたんだけどよ、どう考えてもいじめっ子といじめられっ子の関係にしか見えねえんだよ。」
「まあ、あの月宮先輩だしね。」
「でもさ、恋人らしいこともしてんだよ。例えば・・・
〜ケース1〜
『あの、月宮先輩は・・・』
『保奈美でいいわよ。』
『え・・・』
『付き合ってるんだから、名前で呼んでよ。』
『あっ、じゃあ保奈美先輩か先輩で。』
『うん。それに敬語もしなくていいから。』
『それはちょっと。』
『そう?別にどっちでもいいけど。』
〜ケース2〜
『あれ、先輩、どうしたんですか?』
『帰るわよ。』
『待っててくれたんですか?』
『そうよ、だから早くしなさい。』
まあ、こんな感じだよ。」
「うん、まあ付き合ってるともいえなくはないけど。」
「高校生のカップルとも思えないな。」