oneシーンU-2
「隣り、座ってもいい?」
「どおぞ」
千春は中学の友だち。
中学の頃から美人だった。もちろん化粧をして髪を染めている今の千春もその辺のモデルより美人だけど、化粧をしなくても色白で可愛かった。
通う高校の方向が真逆だったため、中学卒業以来ここ二年半まったく会うことはなかった。
「何でこっちの電車に乗ってるんだ?」
「遊びに行ってたの」
香水の甘い香りがして少しドキっとした。
こんな気分のときに会うなんてツイてない。
何を話したらいいか分からないから。『学校どう?』なんて聞かれたら、『別に普通!』って笑って答える自信がない。
「………どうした?」
千春が首をかしげる。
「何が?」
「なーんか元気なさそう。無口だもん。何かあった?」
俺の気持ちが見透かされているのかと驚いた。
「………最近病んでてさ」
「何で?」
「彼女とは別れるし、部活ではレギュラーはずされそうだし…良いことなくてさ」
うつむきながら、ひどく力のない声で答えた。
限界だったんだ。
だけど、久しぶりの再会なのに暗くしてしまったとすぐに後悔した。
ところが千春は………