心雨のつくり方。-1
大空からの贈り物。
一滴一滴の雫がハーモニィを刻みながら。
誰も気にも留めないが。
そんな自然の不思議。
心にも雨が降る。
それは暖かい雨?それとも冷たい雨?
上空にあがっていく雲となった水蒸気のように。
心も経験が思い出が感情が空高く舞い上がっていく。
それらは熱を帯ながら。
熱い水蒸気が天空を駆け上がる。
いつか気温が低下して冷やされて再び地上に堕ちゆく水滴のよいに
心空に上がった不完全燃焼な思い出たちも熱を失う。
人が忘れた頃に
ポタポタと堕ちてくる。
何もなかったのにふとした瞬間に流れる涙。
思えばあの人に失恋した時もすぐ泣けなかった。
あとで気付くのは
涙溢れるのは
心空でその熱を冷ましてくれたからだろう。
思い出は故郷へ還る。
淋しくはないさ。
大空からの雫を感じる度々思い出してあげよう。
そして泣いてあげよう。
過去がんばってきた自分へ。
これからの自分へ。
雨はやがて大地に溶け込む。
土に還り、また空へ舞い上がるだろう。
雨がやんだ。
昨日流した涙もまた還ってくるだろう。
それまでにはもう少し強くなろう。
コンクリートの濡れた匂いがした。