fantasy ability・5‐“覚醒”へのcount down‐-1
‐午前六時、皇希兼‥織音の部屋‐
『皇希。初めまして。‥‥貴方は、まだ知らないけどね。因みに、喋れないし、考えられないでしょう。貴方に、“力”をちょっとだけど、授けに来たわ。‥‥それから、この“夢”は消させて頂くわ。‥自分自身で、“覚醒”しないと意味がないものね、‥じゃあね。また、会うと思うけど、忘れてそうね。―――。』
目が覚めて夢について考えていた。‥‥何だか不思議な夢を見たような見てないような‥‥。
「どうしたの?皇?」
横から、織音が欠伸(あくび)をしながら、話し掛けてきた。
「‥‥いや、何でも無い。‥‥お早う、織音。」
「‥‥そう?‥‥お早う、皇。」
「‥‥って、近い!」
「え〜?近くないよ♪」
‥‥織音の顔が、俺の顔との距離が、数十センチしかなかった。
「いいから!離れろ!」
「もう!冗談でもダメなの?」
「当たり前だ!‥‥今は、‥‥異性なんだからな!‥‥所で、学校は仁で行くのだろう?」
「うーん‥‥」
「‥‥‥織音のままで、行くなよ?俺が教室で‥‥殺されるから。」
‥‥‥織音の顔が次第に、ニヤけてくる‥‥‥やな予感がする。
「面白そう♪‥‥‥何?」
「何?じゃあねぇ!冗談もほどほどにしろ!」
「もう!解ったわよ。‥‥これで、いいか?」
「ああ。」
織音が仁の姿に戻った?‥‥ん?むしろ、何故、姿を変えてまで俺に会ったんだ?‥‥仁と目があった‥‥
「‥‥前に言ったろう。偶然だと俺は思う。」
「‥‥そうか。」
「‥‥二週間後には、“奴”の手下が来そうだ。今日の午後から、俺と鍛練だ。いいな?」
「やだ!」
「ちょ「何で俺が、鍛練しないといけないだよ?」
「‥‥あの夜の事は忘れた訳では、ないだろう?」
「‥‥う!」
「せめて、自分自身は守ってくれないとなぁ。」
確かに、誠慈さんや光先輩が居なかったら、俺は助かったではないだろう。
「‥‥解った。しかし、何で今日からなんだ?」
「‥‥多分、不思議な夢でも、見たんじゃないか?‥‥俺はなんとなく解るが、言わない。」
「‥‥‥」
「しかし、何か変わった事は無いか?」
「‥‥ん?‥‥体、いや、心から何か燃えてくるような、こないような‥‥」
「‥‥それは、幻想具現化の方だな、‥‥感じる所、まだまだって感じだな。」
「‥‥‥‥」
「ん?信じてないようだな。まぁ、その内解る。」
「そうか。」
と、そこに、ドアを叩く音がした。