『赤い涙』-1
ぽたりぽたりと
君の目から赤いしずくが流れ落ちた
親指でぬぐって何気なく口に含んだら
それはひどく甘い味がした
なぜ、と聞いたら
あなたが好きだから、と君は答えた
僕は君を抱きしめてみる
君はさらに激しくぼろぼろと涙をこぼした
君の想いが僕のシャツに染みて
それがなんだか勿体なくて
僕は君の顔を覗きこむと涙の筋を優しく食んだ
交互に舐めとってもまた溢れだす
君は安らかに涙を流し僕に身をまかす
涙の味が少しずつ変わって
そのことに気づくと僕の目からも涙がぼろりと零れた
君がゆっくり目を開いて僕に焦点をあわせる
頬に自分の手をあて涙の色を確かめると
やっぱりそれは赤かった
君は僕の指先を控えめに掴み舌先で小さく舐めると
甘い、とぽつんと言った
ゆるゆると顔をあげて
それから嬉しそうに笑った
僕の頬をまた涙が伝った