少年VS『朝のアイツ』-1
『ピピッピピッ』
―午前7時半
部屋に目覚まし時計が鳴り響く。その部屋の中の少年が寝返りをうった。『………目覚ましよ、何故そんなにもオマエはうるさいのだ?』
『ピピッピピッ』
『ほう………シカトか…』
言い終わったその瞬間、少年の拳が目覚まし時計へと繰り出された。
『おらぁっ!!』
『バキッッ』
目覚まし時計のガラス部分は粉々になった、しかしガラスの破片が少年の拳に刺さってる。地味に痛そう。
『……!……やるじゃないか…しかしこれで貴様も黙るはず』
『ピピッ!ピピッ!!』
『―――バカな!?』
少年はそう思った。まあ実際ガラス砕いただけだしね。うん。
『……いいだろう。オレも本気になってやる……オレはオマエをさっさと倒し…学校へ行くとしよう…』
そう言い、少年は空手っぽい体勢をとった。
『……フゥー……ハァッッ!!』
その瞬間、少年は踵落としを繰り出そうとした。しかし布団のシーツで滑りあえなく頭からひっくり返って撃沈。
『んあぅっ!!』
なんともマヌケな声である。……その間も目覚まし時計は鳴り続ける。その音は少年には『どうした??その程度か??オマエはオレという目覚まし時計も殺れないのか!?さあ遅刻しちまうぞ……?…フフ……アーハッハっ!!』くらいに聞こえてた。
『目覚まし時計よ……確かに見くびりすぎてたな……。オレはオマエが許せない!!睡眠を妨げやがって!改めて言おう……オマエに死をくれてやる!!』
――少年は目覚まし時計を手にとり、机の角に思いきり叩きつけた。……なんかカッコイイ技かと思ったけど…せこいね。
『フフ…どーだ!?痛いか!?苦しいか!?こんなもんじゃねぇぞっ!!』
さらに少年は窓の方へ行き、ガラス目掛けて目覚まし時計を投げ付けた。
『ガシャアンっ!!』
近所迷惑も糞もない。
窓を突き抜けて庭へと落ちた目覚まし時計は……もう先刻までのような元気な声もださずに……ただ横たわっていた。それを確認した少年は……。
『フフ…アーハッハ!!ククッ笑いが止まらねーぜ!!アーハッハッハァ!!!!オレに盾突くからこうなるんだ!!オレはオマエより強い!!その証拠にオマエはそこでくたばっている!!!!………さあ、学校行くとするか………クク…。』
現在、9時ジャスト。
遅刻決定。