13階段-3
それ以来、河原アキラを見たものはいない。
その夜から二日後には、警察にも捜索願いが出されたのだが、結局何の手掛かりも掴めないのだった。
長月はというと、最後の目撃者として学校からも警察からも、色々と事情を聞かれた。だが、どうにも本当のことが言えず、自分は先に帰った、ということにしていた。
気だるい午後の数学の授業を受けながら、長月は思った。
アキラはこの先も見付かることはないだろうし、なによりもう生きてはいないだろうと。
あの夜、アキラが言っていたことを思い出す。
――絞首刑を執行する時に死刑囚が上る階段は13段だったりする――
つまり、13階段を上ることは生者にも許されるが……下りることは、死者にしか許されないのだと。
水ノ宮高校七不思議の一つ、13階段。
屋上へ続く階段は普段は12段。しかし夜9時丁度になぜか13段になるという。
そしてその階段を上ってしまった者は……
『死ぬ』
END