俺と俺様な彼女 〜1〜-1
あー、やばいやばいマジで緊張してきたつーかさっきから心臓鳴りすぎバクバクうるさいってもういっそ止まれっていやうそです止まったら死んじゃうっててか早く先輩来て〜。
〜決め手は倒置形!?〜
朝・・・
「結衣。」
「何?」
「今日は俺の人生で記念すべき日となる。」
「何、死ぬの?」
「ちがぁぁーう!で俺の命日が記念日なんだ。それともあれか、お前にとって記念すべきってことか!?」
「うるさいわね。で、結局なんなのよ。」
「俺は、今日、告白する!」
「・・・誰に?」
「月宮先輩。」
「月宮って月宮保奈美先輩?」
「そうだ。」
「へぇ、そう。どうやって?」
「抜かりはない。下駄箱に『放課後、体育倉庫裏に来てください。』と書いた手紙を出しておいた。」
「そう、まあ頑張ってね。」
そして放課後、俺は体育倉庫裏にいるのだが、心臓はテンポ100を刻み、胃はフラダンスを踊りながら『絶好調!』と叫んでいた。やばい、吐きそう。と、そこへ・・・、
(き、来た・・・)
月宮先輩が姿を現した。
「この手紙、あなたが出したの?」
「はい、そうです。」
「そう、それで何の用?」
「あ、あの、好きです。先輩のことが。俺と付き合ってください。」
・・・よっしゃあ、俺は言ったぞ。さあどっちだ、Yesか?Noか?できればYesで・・・
「・・・倒置形?」
「はぁ?」 今なんてった?倒置形?
「あなたの告白の仕方よ。」
「あ、はぁ、確かにそういう形といったらそうでしたけど。」
「ふーん。あなた、名前は?」
「谷岡数馬です。」
「すうま?」
「数学の数に馬ってかきます。」
「ふざけた名前ね。」
ふざけたって・・・。たしかに変わった名前だとは自覚してるけど、ふざけたはひどくない?・・・あれ?てか先輩ってこんな性格なの?そういや朝・・・
「けどよりによって月宮先輩とはね。」
「なんでだ?あの容姿なら別におかしくはないだろ?」
「あんた知らないの?」
「何が?」
「そう、知らないのね。まあすぐにわかるわ。」そういったときの結衣の顔は、俺に数学の答案を返す教師の顔に似ていた。
そういうことか、結衣。わかったよ。でもできればもう少し早く言ってほしかったよ。
「あなた、一年?」
「はい、そうです。」 はぁ、こんなきつい性格だったなんて。終わったな、俺の恋。
「いいわ。」
「はい。・・・へっ??」
「だから、OKって言ったのよ。」
「何がですか?」
「あなたばか?告白のことに決まってるじゃない。」
「へ?・・・マジですか?」
「何よ、鳩が豆鉄砲食らったような顔して。」
「いえ、断られると思ってたんで。」
「・・・今まで何人かに告白されたけど、倒置形で告白したのはあなたが初めてだったわ。」
「はぁ、で、それがどうかしたんですか?」
「あなたと付き合う理由よ。」
「・・・それだけ?」
「それだけよ。文句ある?」
どうしよう、この人めちゃくちゃだ。今の言い方だともし俺が普通の告白してりゃ振られたってことじゃん。それでいいのか、俺?
「で、どうなのよ?文句あるの、ないの?」
「いえ、ないっす。」 弱い、弱いよ俺。
「そう、じゃあ一緒に帰りましょう。」
ああ、なんか色んな意味で今日は人生の記念日になったよ。これからどうなるんだろう。
「とろいわね、さっさと行くわよ。」
嫌な予感しかしねぇや、ちくしょう。