Marihuana-1
大ホールの中から響きわたる悲しみの旋律…
ああ、この曲は…何をそんなに嘆いているのだろう…
分からない。だけど、悲しすぎる…
【Marihuana】
妹のクラリアの婚約者が、一昨日亡くなった。彼女は今、どれほどの悲しみを背負っているのだろう?そして、僕は何と嘆けばいいのだろう?できることなら彼女を癒やしてあげたい。そう、僕はピアニストだ…。だけど、この悲しみはどう表現すればいいんだ?
「もしもし…」
「ああ、クラリア。僕だ。ケビンのことは本当に残念に思っている。君は大丈夫かい?」
受話器の中から彼女のすすり泣く音が聞こえてきた。僕はなんて言ったらいいのか分からなくなった。
「………兄さん、悲しいよ。悲しすぎるよ。ケビンなしじゃ私は生きていけないよ。」
「分かるよ。その気持ち…。」
「兄さんに何が分かるっていうの!!」
クラリアは涙声で言った。僕はクラリアの力になれなかった。それから、彼女は一度も連絡をくれず、僕も彼女に連絡をする勇気がなかった。
それから、数ヶ月が経過した…
その日は、友人のニックの家に葡萄の収穫の手伝いに行く予定だった。僕は作業着に着替え、身支度をしていた。そしたら、急に電話がかかってきたんだ。
トゥルルルルル…
ニックからだと思っていた。僕はやれやれと思って受話器をとった。
「やぁ、ニック。今支度をしていたところだよ。」
「………………。」
「……ん?ニック?」
何やら様子が変だった。おしゃべり好きなニックが、間を置いてしゃべるはずがないからだ。僕は電話をかけてきたのがニックじゃないことを悟った。