Marihuana-4
「来て……くれるよな?」
「…………。」
「心配するな。クラリアは俺が連れて行ってやるよ。」
妹は返事をしなかった。僕は友達のニックにクラリアを頼んでコンサート会場へ先に行った。
控え室……
僕は開演前に、室内に飾ってある造花を無心に眺めていた
キミが生まれた日
まだ生きていた父さんや母さんは、どれだけキミに涙を流したんだろう
僕ももちろん涙がでるほど嬉しかったさ
キミがくれた喜びはどれだけ大きなものだったのか
妹が出来た日から、その妹が大人になるまで、毎日が僕にとってどれだけの影響を与えた日々だったのか
どうか……
キミにもう一度、笑ってほしいんだ……
コンサートの幕が上がった。僕は深呼吸をして、会場の席を見回した。真ん中らへんの席には、ニックとクラリアが座っていた。
来て……くれたんだ……
僕は僕のやるべきことをやらなきゃいけない。そうだ、この曲を……
コンサートが開演した。僕はステージに立ち、一礼をし、ピアノと向き合った。
僕が作った曲………その名前は……
『マリファナ』
大ホールの中…
響きわたる悲しみの旋律…
ああ、この曲は…何をそんなに嘆いているのだろう…
分からない。だけど、悲しすぎる…
評論家や客達は、この曲に次々と心を奪われていった
穏やかで、真っ直ぐで、か弱い…
まるで、少女が何かに怯え、指先を震わすような音だ
失う愛……
盲目になった心の行く末
それまで黙っていたクラリアは、急に泣き始めた
「…死にたい。……死に……たい。」
曲はさらに悲しみを増していった