真夜中のピストル、そしてキス-6
6 「忍?」
「え?う、」
ちゅ、と軽く触れた。
そして薄く、薄く笑った。
「克也…?」
「ん?」
「大好きだよ」
「…っそ」
それから克也は『ところでさ』と続けた。
「今からセックスするって事、忘れてないよな?」
ふ、と笑いが洩れる。
「うん…」
被食者にぐらい、なってもいいか。
「んっ…ああ…っ」
「熱…溶けそ…」
克也に体を掻き回されて、最初にあった鈍い痛みやけだるい感じは麻痺していた。
代わりにひたすら克也を求めた。
「克也…っ、あっ、克、也ぁ…」
「くっ…も、限界…忍…っ」
「ぅあ、ああっ…」
「…おい、大丈夫か?」
「腰、ダルい…」
セックスってこんなに体力を消費するものだったっけ…?
俯せになりながら克也の方を見上げると、じっとこっちを見つめていた。
「…なんだよ」
「いや?幸せだなーと思って」
にやっと口端を上げて笑った後、指の先で髪を撫でられた。
ふわっと降ってきた優しい手の感触に、俺は唐突に幸せを感じて嬉しくなった。
キスしたいな。
重い腰を上げて克也にキスをした。
「…なんだよ」
「いや?幸せだなーと思って」
克也の心臓にピストルを当てて。
「…ここ」
「え?」
「今度は…克也が刻み込む番だよ」
(この先がどうなるかなんて、サッパリ分からないけど、とりあえず)
宣戦布告を受けて立った今夜は、どうやらぐっすり眠ることが出来そうだ。