『〜リバウンド〜』-1
―――高く飛んで。
―――強く掴んで。
―――そしてこの世界とはサヨナラ。
《〜リバウンド〜》
オレの1番輝いてる時はリバウンドらしい。
部活でコーチや仲間に言われてきてたこと……だけど自分自身わからない。
オレのセンタープレイはどうなんだ?
オレのフェイクはどうなんだ?
オレはリバウンドだけなのか?
実際オレは試合に出て…それなりに活躍してる……。だがリバウンドはホントに輝いてるらしい。リバウンドが別に嫌じゃない…大事な事だと思う…けれど……。
ある大会にオレは出た。相手はそんなに強くない。けれどオレのマークは気に入らなかった……なぜかって??
『リバウンドをさせてくれない。』
なんとなく気に入らなかった。このままでは負けてしまう。勝つためにはリバウンドがいるんだ。
『リバウンドを制す者はゲームを制す』
あぁ、確かにそーだな。勝つためだ。負けてらんない。
『ガァンっ』
仲間が3ポイントを撃った後に響くこのリングに当たる音。…同時に始まるこの勝負の『ヨーイドン』
相手は深く攻めるようなスクリーンアウトをしてくる。
オレは軽く右に動きフェイクをする。だか相手も馬鹿じゃない。…オレはまた相手のスクリーンアウトにやられてしまう。
もうボールはオレらの上。
――――ち、跳ぶか。
がむしゃらに跳んでみた。手を届かせてみる……届くはずがない。もうボールは奴の掌の中。…………けどなんだ?………この世界。空中から地に戻る時思った。……なんか…悔しいとかムカつくじゃない。ただこの世界にいたい……リバウンドの世界??笑っちゃうよな……。
次は奴より高く飛んで。
次は奴より強く掴んで。
仲間がまたシュートを撃った。
『ヨーイドン』
単純なフェイクなんてやめだ。力で前へ。ボールしか見えない。
また空へと飛んで……
――あぁ、また来れた。
またボールへと手を伸ばして……
――掴んでやる!!
ボールは奴の掌じゃなくオレの掌にあった……。
相手とかそんなもんどーでもいい。
この世界で今1番輝いてるのはオレだ。
――高く飛んで……誰よりもボールに近づいて…。
――強く掴んで……輝けるモノを誰にも渡さない…。
―――そしてこの世界とサヨナラ……もう知っちゃったんだ。この世界。…オレは飛び続けるな。……こりもせずに。
オレはまた地に還っていく……。