おほしさま-5--2
「沙…織?」
「ばか…っ…宏輔は生きてなきゃダメ!!なんで宏輔まで死ぬの!?本当にバカ…ッ…このまま宏輔が死ぬなんて、私が絶対に許さない。」
目に涙を貯め、怒っている沙織。
−俺は、何をしにきたんだ?
沙織に会う為に来たはず。自分の命を捨ててまで。
でもそれは、間違っていた。
言いようのない絶望に包まれる。
「私の分まで、生きてくれなきゃ…ひっく…ダメ…。」
「……」
自分の胸を何回も叩く沙織の言葉に、俺は、何も答えられなかった。
「宏輔…生きて。」
そう言って沙織は、俺があげた指輪を取り出した。
「私が願ったことは、゛宏輔が一人でも生きていけますように"なんだよ…?」
寂しく呟いた沙織の、指輪が光り輝いた。
「いつでも、見守ってるからね。ありがとう…さようなら」
続いて俺の身体も光りだした。
たぶん、沙織とは離れるんであろう。
ならば、最後に俺から抱きしめても…いいよな?
「…こーすけ?」
「…ごめんな。沙織の気持ちも考えずに勝手に死んで。ちゃんと沙織の分まで生きてくる」
「…最後ぐらい…泣かないでサヨナラしたかったのに…ぐすっ…じゃあね…っく…」
「今まで…ありがとう」
最後に抱きしめあった俺達を、無数に煌めく星達だけが、じっと見ていた。
〜〜〜
「…こ…ちゃ…」
俺を呼ぶ声が聞こえる。
ゆっくりと目を開けると、涙目の百合乃が視界に入った。
「宏ちゃん!!よかった…宏輔まで死んじゃったのか…って…」
−俺は、生き返ったのか…。
まだ、沙織を抱きしめた温もりが残っている。
「宏ちゃん…一日中眠ってて…目を覚まさないかと思って…」
まだ、若干意識が薄いなかでぼー…っと窓の外を見上げると、綺麗な、満天の星空だった。
−あの星の中に、沙織がいるんだ。
そう思うと、なぜかしあわせな気分になった。
「百合乃…心配かけてゴメンな」
「ほんとだよ…バカ…」
泣きながら百合乃が笑った。