消えなかった思い-3
俺は走った。とにかく佳菜に謝んなきゃいけないと思った。走って走って人をおしのけながら、佳菜を探した。佳菜はすぐに見つかった。全身びしょ濡れだった。
『佳菜!!』
『…』
『佳菜。ホント…ホントにごめんなさい。』
『…』
謝って許してもらえるはずはない。俺が佳菜をどんだけ傷つけたかは、よくわかってる。由衣の前で"彼女"って言ってあげることすらできなかったんだから。
『じゃあ…それだけだから。』
もう、全部終わったんだ…
俺は佳菜に傘を渡して、来た道を戻りはじめた…
『いで…』
?蚊のなくような声で佳菜が何か言った。
『攸の…一番になれるように私がんばるから。』
佳菜が泣いている…。
『だから、私を捨てないで…』
この瞬間俺は今までのこと、何もかも忘れて佳菜を最高に愛しく思ったんだ。…佳菜はずっとわかってたんだ。俺の気持ちが佳菜に向いてなかったこと。それでも佳菜は見捨てないでくれた。
『もう絶対離さないから』
そういって俺は、泣きながら佳菜を抱きしめた。気嫌をなおしてもらうためでなく、ホントに佳菜が好きだから。
俺は都合イイだけの男かもしれない。でも佳菜のあの言葉、純粋に嬉しかった。あの佳菜の言葉がなかったら、俺はたぶん二度と立ち直れなかったから。
俺はそれから由衣のことは全く思い出さなくなった。
あれだけ好きだったのに。
気持ちに整理がついた
佳菜は俺の一番になった
やっぱり恋愛に必要なことは
後で後悔しないためには
自分の口で気持ち伝えなきゃいけないと思う。