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HIDE AND SEEK
【二次創作 その他小説】

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HIDE AND SEEK-2

それから数十分後、あたしはイチョウの落ち葉を踏み締めながら境内を歩き回り、一人の男子を除いて全員を発見していた。
まだ見つかっていない男子は3人の中で一番おとなしく、今日もかくれんぼをするにあたってほとんど口を開かなかった子であった。

日はもうかなり傾き、空は茜色に染まっている。
しかしあと一人がどうしても見つからない。
あたしは制服が汚れるのも構わず、神社の縁の下、落ち葉の山の中、木や屋根の上なども探したが彼はどこにもいない。
先に見つかった4人も彼を探すのを手伝ってくれたが、効果はなかった。
日はさらに傾き、茜色の空は端から群青の闇に喰われ始めている。

「あー悪いけど、俺塾があるからもう帰るよ」

一人が言うと、「俺も」、「私も」という具合に続き、結局残ったのはあたしと噂話を提供してくれた子だけだった。

「(あたしの名前)ちゃん、どうする?」
「もう少し探してみるよ。彼も見つけられるのを待ってるかもしれないから」
「うん、じゃあ私も手伝う!」
「ありがと」

群青の闇が茜色の空を半分以上喰らい尽すまで二人で探し続けたが、やっぱり彼は見つからない。
あたしはだんだん腹が立ってきた。
ここまで必死に隠れ続ける彼に、そして死にもの狂いで彼を見つけようとするあたし自身に。
願い事が叶うなんてどうせただの噂に過ぎないのに、どうしてあたしも彼もここまで執着してしまうのだろうか?

「あたしもう諦めるよ。このかくれんぼは彼の勝ち」
「彼は放っておいていいの?」
「大丈夫でしょ。きっとお腹が空いたら勝手に家に帰るよ。だから帰ろ?」
「うん。ところで(あたしの名前)ちゃんの願い事って何だったの?」
「えっとね……先に教えてくれたらあたしも教えてあげる」
「しょうがないなあ。私のは『先輩と両想いになれますように』だよ」
「先輩ってあの先輩?」
「うん、そうだよ。それで願い事は何なの?私は教えたんだから教えてよ〜」
「うーん、やっぱり秘密♪」
「あーずるーい!」


こんな感じで歓談しながらあたしたちは帰途についた。
結局あたしは願い事が何なのかを彼女に話さなかった。

あたしの願い事それは…


『死んだお父さんが帰ってきますように』


始めから解ってた。
こんな願い事が叶うはずないって。
それでもこの噂に賭けてみたかった。
だけどやっぱりダメだった。
あたしの願い事が実現不可能なものだったからなのか、それとも彼の願い事に対する想いがあたしのそれよりも強かったからなのかは分からないけど…

それにしても彼の願いとは一体何だったのだろうか?


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