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刃に心
【コメディ 恋愛小説】

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刃に心《第3話・転校生はちやほやされるもの》-1

チチチチチと窓の外から鳥の鳴き声が部屋に流れ込む。疾風は時計を見ようと寝返りをうった。

「すぅ…すぅ…」

そうか…昨日は楓を公園まで迎えに行って、それから楓と昔話に花を咲かせていたからな…疲れてんだ…
うん…夢もしくは、幻覚だな…でなけりゃ…

「もしかして…俺…何かやっちゃった?」

慌てて服を着てるかどうかを確認し、今目の前にある現実を理解しようと必死になった。
安らかな寝息と口から垂れる銀の雫…
一応、服は着てるが、疾風の隣りで寝ているのは楓だった。

「思い出せ、俺!超えたのか!一線を超えてしまったのか!?」

頭を抱えて、必死に昨夜のことを思い出そうとしていると…

「んん…んあ…」

寝ぼけ眼を擦りつつ、楓が起床。そして、目が合う。トロンとした瞳が段々険しくなる。

「ひぃやあああ!?」
「うわわわわわ!?」

お互いに叫んで、お互いに後退り。そしてお互いに顔を真っ赤に染めていた。

「い、いくら…許婚といってもだな…こ、こういうのはちゃんとした順序を踏むべきで…そ、それに私に一言…言ってくれても…」
「いや、昨夜は何も無かった!何も無かった……よな?」

疾風が不安げに尋ねた。その時、ドアの外から怪しげな視線。

───スパン!

犯人の顔の横、数cmのところで苦無が揺れる。

「おはよう。何してんだ、霞?」
「アハ…アハハ…お、おはよう兄貴…」

霞が引きつった声で朝の挨拶。その手には何を期待してか、デジカメ。

「そうか…お前か。お前だろ?お前、何やってくれてんだ!」
「何にもしてないわよ!ただ楓ねえさんを運んで兄貴のベッドに放り込んだだけだから!ほら、何にも問題無いでしょ?」
「大有りだぁ!」

疾風はそう言って時刻を確認。支度をしなくてはならない時刻だった。説教は帰ってからにしよう。そう思い、楓に声をかける。

「やっぱり何にもなかったみたいだから。そうだ、楓も今日から日ノ土の生徒になるんだよな?」
「えっ…あ、ああ、才蔵殿が手続きをしてくれたからな」


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