ふたり【エリカ2・14】-5
……ふたりだけで……ふたりだけの足跡……
……いつまでも、いつまでも……このままふたりだけでいれたらな……
………できないよね…
あかねが…傷ついちゃう
あかね、ずっとユキのこと………
多分あたしよりずっと前から……
「……エリカ」
「(ビクッ!)ユキ…?」
ユキの手があたしの頬を包んだ。
「……エリカ、すごい哀しそうな顔してる…」
「あ、あははっ。なんでだろね?」
――ヤバい! 超キョドってる! 目線定まんないよ〜
それでもユキは真剣な目をあたしに向けてる。
流されちゃいそう……この雰囲気……
──ダメダメダメ!
なんかわかんないけど、このままいったらダメな気がする!
あたしはトロンとしかけた目をギュッと瞑り、元の目に戻してパッと開いた。
「あっ! そういえばコレ!」
背負っていた鞄に手をかけると、ユキの手が頬から離れる。
「はい、手作りだよ♪」
精一杯明るく振る舞った。
ユキは目を細めて、微妙な笑みを浮かる。
「ずっと待ってた…。今日はくれないんじゃないかって思ったよ。」
「そんなわけないじゃない♪」
ユキの額をツンっと小突く。
フフッ、とえくぼを浮かべるユキ。
―それはいつもと変わらない笑顔。
「あかねと一緒に作ったから、味はいいと思うよ。」
「そっか。 じゃあ家に帰ってからゆっくり食べるよ。」
……ユキの笑顔はあかねの名前を出しても変わらない。
あたし、何期待してんだろ……?
……ユキの頭の中があたしだけになることなんて無いのかな…?
……ユキの一番になることはできないの…?
「……エリカ?」
一滴涙がこぼれるまで、自分が泣いていることに気付かなかった。
──ポタッ
聞こえるはずが無い涙のこぼれ落ちる音。
だけどその音は頭の奥まで響いた。
「あれ…? なんでだろね…?……へへっ、…気に…しないで…ね…」
色んな想いが頭の中を交錯した。
溢れる涙が止まらない。