色褪せるもの、褪せないもの-1
朝、部屋の掃除をした。
本を整理していると、一冊の本が目についた。
卒業アルバム。
久しぶりに開こうとすると、中からいくつかの写真が足元に落ちた。
拾い上げて見てみると、そこには少し埃を被ったちょっと昔の俺たちがいた。
みんな笑って、希望に溢れてるような顔をしている。
それを見てると、少し昔の思い出に浸ろうと思った。
俺は今でも憶えている。
馬鹿な奴らとやらかしたイタズラを。
好きな子と一緒に帰った道を。
クラスの奴らと過ごした学校での日々を。
みんな、あのころは常に一緒だった。
遊ぶのも、喧嘩をするのも、どんな時でも一緒だった。
俺は街を出ようと思っている。自分の未来のために。
一緒に馬鹿なことをやった、気の合うあいつらは街に残るらしい。
俺は恋愛ごとはからっきしだったけど、幸せなお前たちを見てたら、俺も幸せな気分になれたよ。
仲の良かったクラスメートは、大体が進学や就職のために街を出ると言っていた。
行く場所はバラバラだけど、いつか会えるかもな。
そんなことを思っていると、ふとアルバムや写真が色褪せ始めていたのに気付いた。
俺は涙を流していた。
なんか、無性に悔しかったんだ。
俺たちが手に入れた宝物みたいな思い出も心も、いつか色褪せていくんじゃないか。そう思うと悔しくて仕方がなかった。