色褪せるもの、褪せないもの-2
昔の俺の夢は、今とは違っていた。
みんなで地元に残って、就職して、歳くって。だけどみんなで沢山集まって、その度に昔の話に花を咲かせる。
ジジィになって死ぬまで、みんなと一緒にいたかった。
俺は、道を踏み間違えたのかもしれない。
もう、その夢を叶えることが出来ると思うには、少し世間を知りすぎた。
だけど俺は信じている。
いつか故郷に帰った時に、お前たちが変わらずにいることを。
俺たちの中にある思い出は、絶対に色褪せないってことを。
好きなあの子と帰った時の胸の高鳴りも、あいつらと一緒に馬鹿をやらかした時のワクワクも、ぜんぶ俺の中に焼き付いている。
埃を払って写真をはさんで、アルバムを閉じた。
元の場所に戻そうと思ったが、机の上に置いた。
いつか帰ってきたら、迎えてくれよ。
みんなでまた騒ごうぜ。
体はオヤジになってるかもしんねぇが、気持ちはずっとあのころのままでさ。
俺は再び掃除を始めた。