刃に心《第2話・記憶というものはあやふや》-7
「それと…疾風、先程はすまぬ…確認するにはこれがてっとり早いと思って…」
楓は闇討ちを仕掛けたことを謝った。
「いいよ、気にしてないから。実を言うと、ちょっと楽しかったりして」
決まりが悪そうに疾風が笑った。
「実は…私もだ」
楓も同じ様な笑みを零す。
「そういえば…楓、家はどうするの?」
「それはお前の家に居候になるだろう。……仮とはいえ…その…許婚なのだから…」
「それは…ちと、まずくないですか?」
「まずくない」
薄闇の中、僅かばかりの月明かりに照らされた二つの影が仲良く伸びていた。
続く…