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刃に心
【コメディ 恋愛小説】

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刃に心《第1話・出会いは闇討ちと共に…》-3

「遅れるわよ」

しのぶが、時計を示した。8時少し前。

「ヤバッ…」
「忘れ物は…」
「無い!」

心配性の母の言葉を切り捨て、荷物を持ち、学校へ。

「いってきます!」

◆◇◆◇◆◇◆◇

始業時間5分前…
本気を出せば20分前には着けたのだが、忍者という職業上、そう明るい時間に力を発揮するべきではない為、ギリギリになるのが常である。

「疾風、おはよう」
「おはよう、シイタケ」

疾風が自分の席に座って、一息ついた時に話しかけてきたのは彼の親友『椎名 武慶』(シイナ タケヨシ)、通称『シイタケ』。

「おぉ、今日もギリギリの重役出勤か!コノヤロー!」

この軽そうな(実際、軽い)男は『田中 彼方』(タナカ カナタ)。友人の一人。

「おはよぉ〜♪」

その後ろでニコニコしてるのは『佐々 希早紀』(サッサ キサキ)。

「「おは」」
「疾風以上の重役出勤発見!よお、スーパーマミヤブラザーズ」
「「人を某髭兄弟みたいに呼ばないで欲しいんだけど」」

息もぴったり、顔もそっくりな彼らは一卵性双生児の『間宮 裕』(マミヤ ヒロシ)と『間宮 裕』(マミヤ ユウ)。漢字で書くと非常に面倒臭い…

「あっ、そうだ。ユウ、お前この間貸したジュース代返せ」

武慶が思い出し、右手を差し出す。それに、ヒロシ&ユウは顔を見合わせ…

「「僕、ユウじゃないよ。ヒロシだよ」」

二人共同じ動作で首を横に振る。

「どっちでもいいわ!返せ!よし、決めた。お前がユウ!」

右側を指差す。

「僕ヒロシなんだけど」
「間違ってたら、片割れから取り立てろ」

有無を言わせぬ勢いで、手を突き出す武慶。仕方無さそうにポケットから財布を出して150円を渡す。

「借りたもんは返す」
「ちっ…キノコが…」
「何か言ったか?」
「別に」

そうこうしている間に始業時間。担任が入ってきて号令。

真面目な武慶、ムードメイカーの彼方、おっとりとした希早紀、そしてよく分からんヒロシ&ユウ。
これが彼の主な友人達である。


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