たまんねぇんだよ!-3
「ビール。飲ませてよ」
この状態で、浩介に飲ませてやれるとしたら…。
俺は、状態を起こし、ベッドサイドに置いてあるビールを口いっぱいに含んだ。
そして、再び手のひらを絡めると、自然と瞳も絡まる。
こういうことだよな、浩介…。
浩介の唇が薄く開く。
俺は、浩介と唇を重ねることに、不思議と何の躊躇いもなかった。
重なった唇の隙間から、ゆっくりと流し込まれる液体は、浩介の口腔内を満たし、許容範囲を超えそうになると、自然と嚥下を促す。一連の動作は、お互いの口の中が空になるまで何度も繰り返された。
唇が離れると、浩介は、少し口を開けて、苦しそうに息を荒げていた。
俺が、浩介の唇の端からこぼれ落ちるビールの筋を舐め上げると、『うんっ…』よ小さく叫んで体を強張らせる。
俺は、そんな、意味深な浩介の反応に、とろけてしまいそうになって、思わずその体を抱き締めた。重なった胸に伝わる鼓動は早く、手のひらに触れる首筋は熱い。
「浩介…なんだよその反応は、たまんねぇよ…」
体の芯が疼く。発情期の犬でも、『全機種対応型人間』でもあるまいし、男の反応に痺れるなんて、どうかしてる…どうかしてるとわかっているのに…でも、
「もう止まんねぇよ。俺…浩介」
「太一のバカ野郎…」
そう罵った太一が、俺をきつく抱き締めて耳元で囁く
「俺もだよ、太一」…と。
「はぁっ…あっ…っ」
洩らさまいと、口を押さえた手の甲から、尚もこぼれる熱い吐息。その合間に『太一』とかすれた声で俺を呼ぶ。
俺も、甘く名前を呼ばれてただけで、気が遠くなり、真っ白になりかける。
熱く漲る欲望を、俺に支配され嬲られ、浩介自らが吐き出した液体が、俺達の聴覚を錯乱させる。
「あぁっ!た、太一…待って、コレって…マジでヤバイって!」
浩介が一気に登りつめたのは、翻弄し、我を忘れた浩介の、快感の中心を俺が、口に含んだ時。自分の下肢の間にある俺の頭を剥ぎ取ろうと、状態を起こしてもがく。
俺は夢中で浩介を貪っていた。貪欲な獣が獲物に喰らい付くように…。
「太一…あっ…待って!俺…も、だめかも…」
浩介に促され、俺は顔を上げる。
浩介の瞳が熱く見てい中、俺はグイッと浩介の腰を押さえつけた。
「浩介。怖いか?」
「…いや、怖くなんかない…」
そう言った浩介の膝が小さく震えている。
嘘つけ!怖いに決まってるよな。だって、俺も怖いもん。思わず吹き出してしまう。