raining very hard.-1
昨日の春の暖かさは
今日の冷え込みを思わせなかった。
昨日いた公園では
隣りのブランコは空いていなかった。
部屋隅にあるこのテレビは
２人分の笑顔を見ていたはずだ。
昨日使った鍋の中には
２人分のココアがあった。
土砂降り。
今日、傘をさして公園に行った。
濡れたとこを手で拭いて、
時々吹く風で揺れる隣りのブランコを、
ただ、ただ、見つめて過ごした。
家に帰ると、テレビでお笑いがやっていた。
部屋に響くのは、聞き慣れた自分の声。
見渡すと、
昨日のままコップが２つ机の上に並んでいた。
何で２つあるんだろう？
そんな事考えながら布団に入った。
あれ？冷たい。何で…
いつもは、暖かい布団。
今日は、足を入れたくない。
…………
ああ……、分かった。
君がいないんだ。そっか。
君の体温がないんだ。
君の優しさがないんだ。
君の温もりが、ないんだ。
君はいつも、
僕を暖めていたんだね。
だから、今日はこんなに寒いんだ。
だから、今日は頬が濡れているんだ。
だから、今日は１人なんだ。
そっか、だからなのか。
だから、心が土砂降りなのか。