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恋する少年少女
【青春 恋愛小説】

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恋する少年少女【1】-1

報われない恋とはなんぞや?

それは、相手がアタシに『興味』をもってくれない恋の事



笹部 翠(ささべ みどり)はコンビニに入るや否や、手を挙げて店員にむかって叫んだ。

「春日くん!アタシと付き合ってください!」

イキナリの告白に、コンビニにいた客は皆翠に視線を集めた。そしてその視線は徐々に告白を受けた相手に移動する。

胸に『春日』の名札を付けた無愛想な少年は、バーコードをとる手を止め、翠を一瞥した。
そして怪訝そうな表情で一言。

「…迷惑ですのでそういった事はおやめください」

あくまで店員として、且つ彼の本心も含め断られた。
こうしてアタシの一世一代の初告白は幕を閉じたのだった…



「そりゃフラれるって!」

翌日。
物悲しそうに語るアタシを余所に、状況を聞いた友人達は腹を抱えて笑っていた。
「コンビニで告白とか聞いたことないし」
「だって…いつも行くコンビニに好きな人が居たんだよ!?告白するっきゃないじゃん!」
アタシはこぶしを握り締め力説した。
「まぁ…フラれちゃったけど…」
アタシがグスリと鼻を鳴らし涙を流すと、笑っていた友人達は手のひらを返したようにアタシを慰めた。

「あ、本人」

友人のその声に、アタシは窓に飛び付いた。
窓の下には、移動教室だろうか…友人達と中庭を歩く春日 省吾(かすが しょうご)が見えた。

「お?笑ってる」
「はじめて見た、春日省吾が笑ってるトコ」
春日くんの笑顔はレアだった。
普段は能面かと思うほどむすっとして表情を変えない。
でも、あぁやって友達といる時は時折笑顔を見せた。
それがまた可愛らしく、ひかれる要因の一つだった。

話したのは告白の時だけだが、どうやらアタシは、かなり本気で彼に惚れているらしい…



日曜日。
気付いたらアタシはコンビニの前にいた。
家から数分のコンビニは、失恋したコンビニでもあった。
「春日くんいるかな…でも、嫌な顔されるかも」
コンビニの前を頭を抱えながらウロチョロ歩き回っていたら、自動ドアをこじ開ける勢いのすごい剣幕で店員が出てきた。

「あ〜!もう!あんた何しにきたんだよ!?」

それは春日くんだった。
「んなとこでチョロチョロされたら他の客に迷惑だろ!入るなら入れ!」
コンビニ自体に用事はなかったが、春日くんが恐くてアタシはコンビニに飛び込んだ。

フンッと鼻息をならし、レジカウンターに戻る春日くんをアタシは目で追ってしまう。
今の時間客はあまり居ない。


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