マリオネット〜プロローグ〜-1
「ただいま」
ガチャリと後ろでドアがしまる。その音がよけいに寂しさをつのらせる。
暗く、誰も居ない部屋。生活感のないこの部屋。私は、確かにここに住んでいるのに…。
時計の音が体に響く。
数か月前までここは、確かに私の居場所だった。母がいて…私が帰ると温かく迎えてくれて…温かい食事がまっている。
そんな生活が当たり前だと思っていたあの頃。
今となっては昔のことのよう。数か月しかたってはいないのに…。
無造作に置かれてるような家具。
色あせたこの場所…私の居場所だった所。
そう…だった…。母親がいなくなってからここは、私の居場所ではなくなった。
だから私は、外にいようって決めたんだ。
本当の居場所を求めて…。
自分を必要としてくれる人をさがして…。