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しにがみハート
【コメディ 恋愛小説】

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しにがみハート#5.5-1

「さて、なにを楽しみましょうかね〜」

すっかり上機嫌に戻っている絢芽。
片手はアイスに、もう片方は…俺の手だ。

「あ、あれ行きましょうよ孝紀さん!!」

絢芽が指差す先は、キャロルランドが世界に誇る、最速ジェットコースター『死神』。
うぉぉぉ…死神に死神が乗るのかよ…。

「ちょッ…待てって絢芽ぇ!」

俺の手を掴み、ずんずんと歩いていく絢芽。俺に拒否権は…たぶんナッシング。

実は俺、ジェットコースターが苦手なのだ。昔、里紗姉に無理矢理乗せられて…あの高さ、あの速さ、そして中盤にある2連続ループ。すべてが恐怖だ。

「ほら、乗りますよ!」
「もう!?」

考えている間に乗車口…。
えぇい!やってやる!

ジェットコースターに乗り、安全ベルトを締める。俺達を乗せた赤い車体は、出発を今か今かと待っているようだ。

ガコン…

『それではお客様、行ってらっしゃいませ♪死神、出発♪』

ゆっくり、ゆっくりとレールの上を走っていく。あと数メートルで思いっきり落下するのだが…

「垂直落下〜♪ばっちこーい♪」

ウキウキしすぎだろがッ!!!
こっちは恐怖でガタガタしてんのに一人でワクワクしてるしッ!!

「孝紀さん青ざめてますよ〜?」
「切羽詰まってんだよ!!」

そうやって絢芽と命のやりとり(?)をしている間にも、『死神』は着々と進む。そして落下直前…

ガタン…ガタン…

「うわぁぁ…景色良いですね〜」
「たっ…たっ…高ぇぇぇぇぇ!!!」

そして落下を始める。

ゴォォォォォォ!!!

「ひゃあああああ♪」
「やっ、ちょ、タスケテーーー!!!」

赤い車体はギュンギュンと速度を増して行き、2連続ループに差し掛かる。

「ぐるぐるぐる〜♪」
「…もうイヤ…」
「孝紀さん青ざめてますよ?」
「切羽詰まってんだよ…」

世界が2回ほど回った後、ようやくゴールに到着する。やっとゴール…。いぇーい(棒読み)

「さて、次はあっちのジェットコースター…」
「待て待て待て待て!!それはもう超楽しんだから!!この後の人生あと一回も乗らなくて良いぐらい楽しんだから!!」
「ちぇー…」

口を尖らせほっぺたを膨らます絢芽。
それはそれで心がトキメクほど可愛いのだが、流石に二度もジェットコースターに乗るわけにはいかない。

「じゃ、じゃあ絢芽、お化け屋敷はどうだ?」
「お?良いですねぇ〜」
そうして俺たちは、お化け屋敷へ向かった。


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