車輪の唄1-1
とうとう今日…………
僕は笑顔で送り出せるかな………。
朝もやのかかる線路沿いの昇り道を息を荒げなからペダルをこぎ昇っている。
「ほらっ頑張って☆もうちょっと!!あと少しだよ♪」
後ろから彼女の楽しそうな声が聞こえる。
僕の額には大粒の汗。すこしはこっちの身にもなって欲しい。
街はまだ眠っているかの様に静まり返っている。
「すごい静かね…世界中に二人だけみたい。」
彼女が呟くと同時に昇り坂が終わりを迎え僕らは同時に言葉をなくした。
あまりに朝焼けが綺麗すぎて…
後ろで彼女の笑い声が聞こえた。
控え目ないつもの笑い方。
僕は振り返ることができないよ。
君に泣き顔を見られたくないから………。