孤島での涙-1
夏の残滓が厳しい秋晴れの日。東京湾に浮かぶ島の孤島で僕は飢えていた。
周りには草が一本も生えていない。唯一の秋雨前線の通過による雨水を、空き缶で貯水していたおかげで遭難から一カ月経った今も辛うじて生きている。
だが、じきに僕もこの草が一本も生えていない島の上で死ぬのだろう。
東京で安全無事な生活を送っていた頃は当たり前のようにコンビニがあって、牛丼屋があって……。今はただひたすら死を待つの身だから泣けてくる。貧しい暮らしなんてしたこともなかった。
映画やテレビのドキュメンタリーのように助けられる事を期待して目を閉じた。
涙すら枯れて出てはこなかった……