光の風 〈封縛篇〉後編-2
「光の力を持つ王、それはこの世に唯一人。なるほど、そうなったかウレイよ!!」
自分の中で答えを見付け、侵入者は高らかに笑い声をあげた。彼の起こす仕草、行動はその場にいる者すべての恐怖を生み出す。
「ヴィアルアイ…。」
「ほぅ…覚えていたのか、私の名を。」
ヴィアルアイの言葉に誰もが耳を疑った。侵入者の名をカルサ自身が知っていることなど今まで一度たりともなかった事。リュナの怯え方からして御剣に関係している人物だと想像はついた。
「何をしている!リュナを早く連れ出せ!」
未だ近くでかがんでいるリュナを見て、カルサは兵士を促した。その表情は滅多に見ない焦りがある。
ヴィアルアイがカルサにかざした手から勢い良く炎が襲いかかった。とっさに気付き避ける。
ヴィアルアイの炎によって王座が一瞬にして焼かれてしまった。その瞬間的な出来事に誰もが驚きを隠せない。
「王座がっ!一瞬にして…。」
サルス達が王座のなれの果ての姿に気を取られている間に、ヴィアルアイとカルサの戦闘は始まっていた。鳴り響く剣と剣の交わる音は誰も寄せ付ける事ができない。
余裕の笑みのヴィアルアイとは正反対にカルサの表情は険しく、追い込まれていった。
「どうした!お前らしくもない!せこい手をして、それでも隠れたつもりか!」
「違う!」
「この小国に埋もれ、それごときで私の目を欺けると思った!!」
「違う、オレは!!」
激しい感情と剣のぶつかり合いに誰もが動くことができなかった。リュナを守る兵士だけは、激しい戦闘に巻き込まれないように必死に動いていた。
(くそっ!場所が悪い!)
「そんなに気になるか?」
「!?」
ヴィアルアイのやけに静かな言葉にカルサは騒めいた。リュナを守る為にわざと遠ざけるように移動していること、それが全て見抜かれていた。
「気にならないようにしてやろう。」
ヴィアルアイは不気味な笑みを浮かべると、一瞬にしてカルサは壁に叩きつけられていた。すごい音と共にカルサの背中の後ろで壁がぼろぼろと崩れ落ちる。
「ぐわぁっ!」
「陛下!!」
膝から崩れていくカルサの視界にはリュナに斬りかかるヴィアルアイの姿がスローモーションで映っていた。頭の中で警戒音が鳴る、だめだ!
「っラファルー!!」
全身全霊で出した声と共に、右手に力を込めヴィアルアイに向けて振り落とした。死を覚悟した兵士は反射的にリュナに覆いかぶさる。
ヴィアルアイが剣を振り落とそうとした瞬間、ラファルが現れヴィアルアイの腹部に体当たりをした。それと同時に背後から雷が襲う。