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きゅっ。
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きゅっ。 〜V〜-3

 来た道を辿って夕日を背に歩道を歩く。陽が無くなるとだいぶ肌寒いと感じる夕方は、もう、すぐそこまで迫っている。
「子供が欲しい、なんて。今思えばまるでプロポーズみたいなこと…。思い出すだけで顔から火が出そうな程恥ずかしい。だから、記憶から消して?」
 フルフルと顔を横にし、嫌の意を表す。
「そんな嬉しい言葉、忘れられるわけないよ。少なくとも美咲の未来予想の中に俺もいるってことだろう?」
 顔を真っ赤にして俯き、無言でいる美咲に、返事は肯定なんだ。と確信した凌。
「可愛いよ。美咲。」
 ますます顔を真っ赤にする。
 人は普段、目で物を語る時がある。俺達にはそれができない。だから、これからもたくさんの言葉を紡いでいこう。伝えたいことはあますことなく、言葉が溢れるくらいに。


 小鳥のさえずりがまだ行き交う時間、早朝に美咲は登校する。他の人の歩行の邪魔にならないよう、美咲なりの配慮らしい。小学生の頃に比べると小鳥の泣き声も日に日に少なくなってきた気がする。そんなことを思いながら通学路を歩いていた。

 この先に起こる出来事を知らずに―――


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