HAPPY LIFEG-3
「実はさ、予算のことでみんなに相談があって…」
「もしかして足りないとか…?」
「違うわよ。そんなわけないじゃない。私が管理してるんだから」
一瞬ざわついたのが千栄先輩の一声で収まった。
「実はその反対でさ、結構余裕あるから何かやりたいと思ってるんだ。例えば後夜祭とか…」
「賛成〜!」
「賛成!」
「やったぁー」
というわけで、後夜祭即決してしまいました。実行委員はクラスの出し物に参加できないから、その分後夜祭を盛り上げて行こうってすごく張りきってる。
実行委員は全部で30人。他の生徒には桜栄祭が始まるまで秘密にしておくってことになったから…なんかワクワクしてきた!!
「明日香。お前、うっかり誰かに話さないように気をつけろよ」
教室に戻る途中、後ろから雄大に話しかけられた。
「大丈夫だよ。雄大こそ気をつけてよね」
「俺はお前と違ってしっかりしてるから平気だよ」
…まぁ確かにそうなんだけどさ。意外となんでもこなしちゃうしクラスまとめるのも上手いし、クラスの出し物決めるのも雄大のおかげですんなり決まったもんね。
「そういえばさ、姉貴から変な話聞いてない?」
「…なによ急に?」
突然そんなこと聞かれても思い当たることないし…なんかあったかな?
「いや…ないならいいんだ」
あきらかにに不自然な態度で、さっさと廊下を歩いて行った。
教室に戻り自分の席に座る。となりの席に雄大はいなかった。膝の上にカバンを置いて、お弁当をしまいながらさり気なく探したけど見当たらなかった。
「明日香!何ボーッとしてんの?おべんと箱カバンに入ってないよ?」
夕里に言われて下を見ると、ピンクのハンカチに包まれたお弁当がカバンの横に並んでいた。
「委員会で何かあった?」
ちょっとしたことでもよく気がつく夕里。優しい言葉をサラッとかけてくれる。
「なんにもないよ」
今度こそお弁当箱をしまいながら笑顔でこたえた。
(はぁ…よかった)
雄大はと言うと、まだあのことを明日香に知られていないというので一安心していた。
実は昨日の夜、いつものように明日香を自転車の後ろに乗せて走っていたところを姉貴に見られていたのだ。それだけならまだこんなふうに焦る必要はないのだが…。
「雄大、アンタ明日香ちゃんと付き合ってんの?」
夕飯を食べ終わってリビングのソファーでくつろいでいた俺は、姉貴の一言で一気に飛び上がった。
「まっ…まだそんなんじゃねーよ!!」
「まだ?ってことはこの先そうなるかもしれないってこと?」
からかう口調で言うのは昔から変わらない。なんでもお見通しって感じが姉貴には何やってもかなわないって思ってしまう。