群像-4
ホックを外しスカートを脱がせると、すかさず純白の下着に手がかかった。
ゆっくりと、じょじょに梨華の秘密の場所が暴かれていく。ついに小さな布まではぎ取られ、裸体に、申し訳程度に紺色の靴下と上履きを履いただけの格好になった。
恥毛は細く薄く、まだ秘所を覆い隠す程には成長していなかった。眞子の指が無防備な割れ目を、触れるか触れないかの境界にある優しさで撫でる。未だ快楽を知らない少女の、乾いた桃色の肉の上を眞子の白い指が何度も往復する。
「んんっ…んっ。」
梨華があえぎを漏らす。
「そうよ。感じるままにして。今、梨華の体は私の物なんだから勝手に我慢なんかしちゃ駄目。」
眞子は反応を楽しみながら、時々乳房や太股に触れ、全身をもてあそんでいく。
梨華の体を音楽室の毛足の短い絨毯に横たえると、その両足をM字を描かせるように左右に開いた。
「梨華…ここも綺麗。とっても。」
無知な純潔の性器をまじまじと視線で犯した後、眞子は口づけた。
唾液をたたえた舌で、小さなつぼみを包み、強く押し当てつつ舐める。
「あっあっ!いやっ。」
梨華が刺激に耐えかね声を荒げた。それでも暴れる両足を抱え込み、眞子は愛撫を続ける。
つぼみをついばみ、花びらに浅く舌を差し込む、それを不規則に執拗に繰り返す。梨華の叫びは止むことなく音楽室に鳴り響いた。
あえぎは防音壁に消えていく。さっきまでピアノの音が流れていたこの室内で少女達が奏でる卑猥な旋律は、誰も知ることなく続いていく。
眞子は、無垢な少女が自らの手によって快楽の淵に落ちていくその事実に、恥ずかしさにうわずっていた声とは似ても似つかない厭らしい女の叫びに、恍惚としていた。
舌先だけでなく指も加え、梨華を愛しながら、自らも蜜の溢れきった秘所に指を差し込んでいく。
自身の体に急速に流れだした快楽に任せ、眞子の梨華への愛撫はいっそう激しさを増した。
舌は進入を拒む膣壁を押し退け暴れ、指の腹が充血したつぼみを摩擦する。
「眞子…せんぱい…!私駄目…っ体がおかしくなりそう…。」
「いいのよ…梨華。そのまま、抵抗しないで。力を抜いて。」
「でも…ああっ!でも…っ…」
「いいから、私も一緒にイってあげるから。」
梨華が自らの体に起ころうとするのが何であるか知らないまま、産まれて初めて昇り詰めようとしている時、眞子ももはや限界だった。
「あっああ…っ!」
梨華が背筋を反らせ一瞬けいれんし、絶頂にあえいだ時、眞子もまた連れられるように達した。
急激に汗が吹き出るのが感じられ、息を乱した眞子は、目をつむり、未だ引かない快楽の波に身を任せたまま横たわる梨華を見た。
投げ出されたその手に眞子が戯れに触れると、梨華は無意識なのか、そちらを見ることもなくしっかりと眞子の手を握り返した。
眞子の心ににわかに愛しさがこみ上げ、美しい顔に笑みを作らせた。
屈託の無い幼い少女の様にも、慈愛に満ちた母の様にも、そして、残酷に策略を巡らす犯罪者の様にも見える。
眞子は、いつもの近寄り難い謎めいた美しさを持つ少女に戻っていた。
衣服の乱れを直し、まだ起き上がることの出来ない梨華をそのままに、眞子は、何事も無かったかのように、慣れ親しんだ鍵盤に指を置いた。
少女達の秘密の旋律をかき消すように、眞子の美しいピアノの音が、いつもの様に響き始めるのだった。
-END-