くだらない話-2
自分を初めてくだらない人間だ、最低な人間だと思った。同時に、ミリの居た価値を今頃気付いた。キッチンのテーブルの上に飾られた大きさの違う、不揃いのケチャップ達。ケチャップが増える度に君を抱きしめた。夜帰って来ると、外にもれる美味しい香り。何も言わず玄関を開けるとミリは
「おかえりぃ!」
と、嫌がる俺にキスをしていたね。いただきますも言わずに食べた、君の飯は暖かかった。手抜きなんかしたことない。俺にとってはもぅおふくろの味だった。
夜中眠れないミリ。爆睡してる俺を起こしてドライブに何度も連れてったね。海や、山、街中、ぃろんな景色を二人で見ては君の古い写真機で地球を写してさ。もぅ壁中写真だらけ。ミリの変顔、俺の寝顔、星や、空、雨。この部屋は君との思い出しかなぃょ。肝心な君がいないなんて…
有り得ないと思わないかい…?
ミリ。
背がちっちゃくて
「??しかないなぁ〜」
とふざけて付けた、君のぁだ名。体はちっちゃいけど、俺ょり何倍もおっきな心だね。
目覚まし時計なんかなくていい。君の暖かい御飯が俺の朝だから。俺を遅刻させないでょ。早く帰ってこいょ。
…キィー
っと玄関が開いた。
「ケチャップ買って来たから許して。」
「ミリ…。」
俺は見せたコトのない涙を隠す暇もなく、ミリを抱きしめた。
「…ケッケ。」
「ごめん。ごめん。…」
「…ドライブ連れてってくれたら、許してあげる。」
「…あぁ…もちろん。」
ミリはいつもの写真機を俺に向けた。
「泣いたケッケ!!不細工!!」
ミリ。
今なら君の言うとおり胸の中で死にたいょ。
巨乳なんかの胸ぢゃなくて、君のおっきな心の胸で。