ふたり【序章・結】-3
「はい。終しまい。」
あかねはニコッと微笑んだ。
……優しいなぁ。
可愛いし料理も上手いし、あかねは絶対いいお嫁さんになるんだろうなぁ。
・・・あや姉の子供とは思えないよ。
どうやら尻に敷かれマンのお父さんの優しさと、あや姉の器量の良さの両方を受け継いだようだ。
………体だけはあや姉に似なくてよかった。
あかねは、そこはお父さんの方に似てスリムで小さい。
「大丈夫?ユキ……」
リビングの入り口にエリカが立っていた。
「うん。全然、だいじょーぶ。あかねが治療してくれたしね。」
グスッ……グスッ…
――え?なんで?
「ごめんねっ、ユキ〜……グスッ………あたし、…がっ……鈍いからっ……」
ちょちょちょちょっと待て!
そんなことで泣くなよ〜。
ヤバイヤバイヤバイこここのパターンは…
「エリカ〜、泣かないでよ〜……うっ…、ごめっ、ごめんなさいっ、あっ、あかね、エリカにっ、ひどいこと言っちゃっ、……あぁーん!」
………エリカは泣き虫だ。なんかあるとすぐ泣く。
……エリカが泣くとあかねも泣く。
……俺は固まる。
……あや姉が来る。ふたりをなだめる。
俺の呪縛を解く。
――って、あや姉いねぇじゃん!
どうするよ!?俺!
……口が開かない。体が動かない。
このままじゃふたりは泣き止まない。
……なんとかしなきゃ。
俺しかいないんだ!
寄り添ってわんわん泣いているふたりに近付いて、遊輝は勇気を振り絞った。
「見ろっ!!!」
……………
「「バカ!」」
バシン。
――ドサッ。
――よう!オレ様は「ユキチ」だ!
1才のときからこの家に住み着いてるんだ!……決して『飼われてる』んじゃねぇからな!
オレ様が今起こった一部始終を語ってやろう!
感謝しろ!