淫ら妻-4
媚薬と酒か。
ふっと、自虐的な笑いが起きてしまう。
友人の奥さんが、どうしたの?という形でこちらを見る。
『いや、最近はそうでもしなければ、妻に触れる事が出来てないんだな、って嫌でも思い出してさ。』
目の前の二人は顔を見合わせ、奥さんは申し訳なさそうに、友人は大丈夫と言わんばかりの顔をした。
『そうやな、うちのとこも実際は、そういう関係性と大して変わらんかったかも知らん。
結果オーライの嫁のエロスの開花やし、嫁の友人がおらんかったら、ただ悶々としてただけかも知らん。
嫁だってこれだけの熱量を秘めたまま、発散する事なくいたら、俺は自分の不満だけで、嫁の事、全然考えてなかった事に気づいてさえいない、って状況やったから。
大丈夫。きっとうまくいくって』
ふたりして、こちらに笑顔を向けた。
その2人に笑顔を返しながら、心の中ではふつふつと黒い思いが沸いてくる。
妻も確かに、僕に友人として見て欲しいと冗談めかして言ってきた事はある。
それは、寝取られ願望の発露ではあったのだから、前向きな発想だったと、今では思う。
しかし、最近の対応は、どこか見下されているような気がして仕方がない。
結局、プレイにしても通常の肌を寄せ合う行為にしても、敬意が大切だと思うのだが、最近はその敬意を感じにくいまま、『男のロマンなんやろ?中出しって』と生理の度に、いたずらっぽく挑発があったものが、生理3回分くらい飛んでいる。
すなわち、単純にセックスレスが3カ月を越えたという事を意味する。
もはや立派セクスレス夫婦になってしまっていた。
最近では、時々苛立ちを通り越して憎しみに近い想いすら抱いてしまい我ながら驚く。
実際には、精神的な病の影響も少なからず影響していて、妻の要求を満足に満たせてはおらず、自分の欲求だけを相手に求め過ぎている事、もしくは、改善の為の努力を示すことが出来ていないことが、妻の気持ちを遠ざけている理由かもしれないが、いまは、どうにも気持ちを抑えられなかった。
よく考えたら、高瀬もそうではないのか。
奥さんが矢部のペニスを咥えた。
それは、自発的行為ではあったものの、淫らな雰囲気にあてられて、我を失うくらいに興奮したからだ。
奥さんは自覚しているか否かわかっていないかもしれないが、確かに不可抗力だと言っていた。
興奮していた高瀬も、奥さんの行為が不倫にあたる不適切な行為と認識しながら、昂奮した奥さんに請われる形で矢部のペニスの受け入れを許可している。
不同意わいせつにも当たらない。
僕の許可、本人の最終同意があれば犯罪である事を回避出来るのであれば、ギリギリまで犯罪行為『的』であっていいのだ。
また僕は知らぬ間に生唾を飲み込んでいたらしい。喉元でゴクリと音が鳴った。
『高瀬』僕は呼びながら、奥さんに顔を見る。
『奥さんは、レス的なプレイはNGか?』
友人は奥さんと顔を見合わせてニヤリと笑い返してくる。同じ考えだろうという確信を持った。
『うちの嫁に、NGプレイは、ない。な、弥生』
弥生。そういえば弥生さんだったな、と結婚の式の招待状まで遡って、ぼんやりと思い出した。
『弥生さんと、呼んでいいですか。ずっと奥さんって言い方も変な感じなので』いいですよ、いいよと2つの顔が上下に動く。
『では、うちの妻、妻はかほりと言います。』
『かほりさんね。それで』弥生さんが話の先をうながす。
『うちの妻はレズプレイに関しては、元女子校出身でもあって、遊びでキスくらいは、と言ってた事もあり、抵抗は少ないはずです。』
『ホームパーティーで、高瀬、矢部夫妻が揃った中で、お酒と媚薬を妻のグラスに入れ、ゆっくり眠らせていきます。
妻が夢うつつになった状態で、できれば弥生さんと、可能なら早苗さんでしたっけ?弥生さんの親友の方も一緒に妻を気持ちよくさせてあげてください。』
『ひょっとしたら、媚薬だけでもいいかもしれません。
酔った〜と言いながら、妻は乳首だけでいけるたちなので、胸を弄り回してください。興奮すると思います。
服をはだけ様として抵抗したら目隠しでもして、バイブでも突っ込んで、放置した横で、セックスしてみれば、ひょっとしたら、自分で触って欲しい、くらい言い出すかもしれません。
それでも抵抗したらセックスレスの話を持ち出して、焦らすなり、妻を女性陣でもてあそんでください。
ついでに、動けないよう手をロープで柱などに固定しておいた方が本人もその気になるし、襲わなくては、いけなくなった時に絵的にも実用的にもいいでしょう。
何度もいき果てると思いますが、そうなったら、僕が許可してるからと、耳元で囁いてください。
僕は買出しで矢部と出てる手配で隣室からモニターしてます。
とにかく、一言でも言質を取れれば犯罪は回避。それでも許可しなければビデオを外に出すといって、その時は高瀬と矢部の2人ともがマスクを被った状態で好き勝手に犯してもらえばいい。
その後で、ネタバラシでもして、夫婦喧嘩でもするかな。
どうしても抵抗がひどかったら、僕が犯すから口パク頼むわ』
『う〜ん』と高瀬は少し難色を顔に浮かべたが、弥生さんは『そうね、きっとわたしたちのテクニックで落とせるわ』
と、笑って返してきた。
よし、っとシナリオは完成しあとはアドリブという話から日程調整となった。
内容は矢部にLINEし了解の返事が戻ってきた。
3家族の都合を調整して2週間後の週末ご決まった。
うちの子たちは連休で祖父母と一緒に旅行に行く予定をたてていた。
3人とも一様に昂奮した顔つきになっている中で、僕の中で妻の気持が良く分からないまま混乱していた。