隣室 ……… 第三の物語-27
私がどんな淫らな女であるか、自白を迫ってくるような鋭く尖った光。砂漠の太陽のような光は、じりじりと私の体を炙るような残酷さで心と体の記憶を蝕んでいく。まるで蜃気楼のように揺らいでいる鏡の中のわたしは、《私》を嘲笑っている。鏡面に揺らぐ明るすぎる残酷な光は、私を恥辱で染めるように色褪せた乳首をねじり、陰毛を削ぎ、色褪せていく皮膚を剥ぎ、淫らな女の膿(うみ)を吸い取り、無残な化石にする。
でも私はそうされることの欲望を持つことができることに感謝する。いや、そういう欲望しか持てない年齢の女になったのかもしれない。
真夜中、男は戻って来ない。もうひとりの私は、隣室でベッドの上で縛られ、心も肉体も封じられたまま男を待っている。ひとりでに膿(う)んでいく寂しげな体の空洞を噛みしめながら。
窓の外の暗闇は沈黙している。隣室のわたしはひとりだということに気づく。星の彩りに染まった体の中心に、淫らな秘密を感じながら。
そして私は、三つの物語を書き始めた………あの頃、私が愛したあの男に、ふたたび美しくしなる鞭で虐げられることを望んで。
…………(第三の物語 「隣室」 終わり)