優菜-5
修司が 荒い息を吐き 優菜の体から外れ
ベッドに横に成った時 優菜は修司を見て
「 修君 まだ 私を誰かに 抱かせたいと思ってる? 」
修司が起き上がり 目の中に光を浮かばせ
「 優菜 抱いて貰いたい男性を見つけたの? 」
言葉の後ろの 得も言われぬ 喜びと邪な嫉妬の入った言葉
「 私を 嫌いに成らない?」
「 優菜を 愛してる 優菜は俺の奥さんだから
嫌いには成らない 誓うよ 」
「 僕の 知っている人? 」
嬉しそうにのぞき込んで来た
「 私・・・ 社長なら・・・良いかな・・・」
修司の目が光り
「 社長 来週の土曜の夜は 空いて居るかな? 」
「それと お昼に 社長と会える時間 作れる? 」
優菜は 手帳を取り出して スケジュールを確認して
段取りを取った
翌週
火曜の午後 30分程 修司は社長を訊ね 何か話をしていたが
片山の態度に変わった処も無く 週末
修司の予約した ホテルでの会食が始まった
修司と片山は食事の間 仕事の話で 盛り上がり
食事が終った時 修司が立ち上がり
優菜の耳元で 一言 明日の朝 迎えに来るから
ポケットから ルームキーをテーブルに置き
少し寂しそうな目で 出口に消えて行った
優菜は修司の後ろ姿を見た後 目の前のワイングラスの
白ワインを一息で空けていた
片山は優菜がワインを開けるのを見て 黙って立ち上がり
ルームキーを手に持つと 部屋番号を確認したのか
ポケットに入れ 歩き始め 優菜は黙って 後ろに着いていた
仕事の時 優菜は一歩後ろを歩き 必要な時は 耳元で
それ以外は 横を歩き
片山をサポートして7年 お互いに歩きなれた距離を保って
部屋へ向かう
土曜日
優菜は目覚めた時から 心臓をドキドキさせて
箪笥の中から 下着を選ぶのに
何度迷ったか 迷うと言っても 優菜の下着の色は
白 黄色 水色 後は黒い上下が2組
どれも 実用を重視して 可愛いと言うデザインの物は?
迷った末 小さな刺繍の付いた物を身に纏い
夫の買ってくれた 赤いワンピースを着て
夫とホテルへ向かった
優菜の 姿を見た 夫の目の中の嫉妬と悔しさの滲んだ光を見て
車中 修司に 辞めようか? 顔を見ると
吐きだす様に 良いよ 優菜が楽しんでくれれば
笑顔で優菜を見て来る
夫はホテルへ入ると 直ぐにチェックインをしてカギを受け取り
予約した レストランへ向かった レストランで 名前を告げ
案内された席に 片山は座って
二人を見て立ち上がり 優菜を眩しそうに見て 食事は始まった
片山は食事の前に シャンパンをオーダーして
修司の仕事を褒め 優菜の服が素敵だと褒めて来る言葉に
ただ 優菜は頷き 食事の後で・・・
スープ 前菜と 運ばれてくる料理の味は判らない
優菜は ただ 出された物を口に運び
夫と社長の言葉を聞いて 考える事は
この後 社長と・・・
食事が終った 夫が耳元で 明日迎えに来るから
耳打ちをして 出口に向かう姿を見送った時
目の前のワインを 一度に空けていた
片山は何も言わず 立ち上がり テーブルの上の
カードキーを持ち 歩き始め 何時もの様に
一歩後ろに付いて歩く
エレベーターのドアが開き 乗り込んだ片山が
初めて優菜を見つめた