投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ふぉあしー
【その他 恋愛小説】

ふぉあしーの最初へ ふぉあしー 1 ふぉあしー 3 ふぉあしーの最後へ

ふぉあしー@〜屋上の飛べない天使〜-2

「ふふ、傑作ね。面白い冗談だわ」
「まあ、信じられないのは当然だな。こっちも始めから信じてもらおうなんて思ってない」
「信じる信じないは別にして、もし君の言ってることが本当だとしても、私が飛ぼうとしてから5分以上は経っているわ。もうその子は通り過ぎてるんじゃない?」
「いや、それはない」
「どうしてそんなことが言い切れるの?」
「それが『因果』だからだ」
「『因果』?」
「現在における様々な要素が『原因』となって、『結果』として未来が生じる。それが『因果』だ。『因果』は複雑に絡み合ってできているから、少し時間を変えたぐらいじゃ未来は変わらない」
「そう。よく解らないけど、だから何?って感じね。私には関係のないことだわ」
「それを言われたら困るんだよなぁ…あんたとはあまり関わりたくなかったから、客観的なことだけを言って諦めてもらおうと思ったんだが、仕方がない」
「……………………?」
「『私もう疲れたの。どうせ誰も私を必要としてないんだから、私なんかいなくてもいいよね?私、鳥になりたいの。だから行くね。さよなら』だったよな?」
「……っ!何で私の遺書の中身を知ってるの!?」
「『未来』が見えるって言っただろ?その時一緒に見えたんだ。ついでにあんたにいいものを見せてやる。目を閉じて、右手を出してくれ」
「何で私がそんなことを…」
「いいから!」
私は渋々言われた通りに目を閉じて右手を出した。
少年の暖かい手が私の右手を包む。


「どうして…どうして飛び降り自殺なんか…」
あそこで泣いているのは…『お母さん?』
「咲姫、さきぃ…何で死んじゃったの?うっうっ…」
『今のは美紀?これは一体何なの?』
『俺が視たあんたの未来だ。周りをよく見てみな』
『私の写真が飾ってある。あれは棺桶?もしかしてここは…』
『そう。あんたが死んで2日後に行われた告別式の様子だ。参列者の様子が見えるか?』
見えるけど、何かがおかしい。みんな泣いている。
『泣いてる…?でもどうして…?』
『はぁ…?あんたの告別式で参列者が泣く理由なんてひとつしかないだろ?』
『えっ…何?』
『まだ分からないのかよ…あんたの死が悲しくて泣いてるに決まってんだろ!』
『私の死が悲しくて…?』
『ああ、そうだ。あんたは自分が必要とされていない人間だと言った。でも必要としてない人間に対して涙を流す奴なんかいるか?みんなあんたを必要としている、大切に思っているからこそ泣いているんだ』
『で、でもこれは君が私に見せているただの幻想よ!』
私は目から涙がぼろぼろとこぼれるのにも構わずに叫んでいた。
『幻想なんかじゃない。さっきも言っただろ?俺があんたに見せているのは、現在の要素から生じた結果としての未来だ。ちゃんと根拠がある』
『でも、でも……私…は…うっうっ…』
最後の方は嗚咽で声にならなかった。泣きじゃくる私の体を何か暖かいものが包む。


ふぉあしーの最初へ ふぉあしー 1 ふぉあしー 3 ふぉあしーの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前