不機嫌な幸子-1
5時過ぎ 幸子は台所に立って
恵美子と一緒に夕ご飯の支度をしていると
チャイムが鳴り
恵美子が玄関にむかう
「遅くなりました」
「優美さん ありがとうございます」
「いえいえ おさむくん 明日の朝ね」
「うん」
「それじゃ、失礼します」
「気をつけて帰って下さい」
「はい」
優美を見送ったあと
恵美子はおさむに問いかける
「居間にいる? 部屋にいく?」
いまにいる
ゆうごはん すこしでいい
「向こうで食べてきたの?」
ちゃーはん さっき すこし
「わかったわ」
恵美子はおさむを居間に連れて行き座らせると
台所に戻る
「おばあちゃん おじちゃん なんて?」
「チャーハン食べたから少しでいいって」
(しおりちゃん達の料理教室…)
「わかった…」
幸子は不機嫌になりつつも返事をして
夕ご飯の支度をすすめる
しばらくすると
幸子の両親もそれぞれ帰宅してきて
母親も台所にやってくる
「お義母さんありがとうございます」
「いえいえ…」
「お母さん おかえりなさい」
夕ご飯の支度が終わると
居間に運んでいき幸子はおさむの隣に座る
「食事介助はいいよね」
「うん」
ふきげんになってない?
「わかるの?」
たべないっていったから?
「しおりちゃん達の料理教室でしょ」
「うん」
すこしはたべるから
「わかった」
(おじちゃん わたしのこと怖がってる
態度に出してないつもりだったのに)
幸子はおさむに食べさせながら
自分も食べていき
おさむに薬を飲ませたあと
台所で後片付けをするのだった