第三十五章 映見を裕太が撮影する3(新藤夫妻編)-3
「裕君・・・」
振り向いた目からこぼれた涙を、唇で拭いてあげた。
そのまま僕の胸に頭をもたれさせると、カメラを二人に向けたまま僕に心地良い重みをプレゼントしてくれている。
僕は嬉しくなって、ギュッと細い肩を引き寄せた。
「嬉しい・・裕君・・・」
見上げる桜さんはカメラのアングル等、どうでもいいという感じで呟いた。
自然と二人の顔が近づき、唇が重なる。
少しくらいの職場放棄は、許してもらえるだろう。
撮影されているのも忘れ、映見達があんなに、激しく交わっているのだから。
「あっあっ・・・いいっいいっ・・
剛さんっ・・剛さんっ・・・」
身体を起こした新藤さんの激しい腰の動きに、映見は叫びつづけている。
秋生とのセックスで吹っ切れたのか、その時みせた羞恥心は消え失せ、只、本能のままセックスを楽しんでいるように見える。
でも、僕はそんな妻がもの凄く美しく、愛おしく感じていた。
「はぁっ・・はぁ・・映見っ・・・
映見っ・・はぁっ・・・」
荒い息をリズム良く吐きながら僕の妻を呼ぶ新藤さんが、うらやましく思えるほどだ。