第三十五章 映見を裕太が撮影する3(新藤夫妻編)-2
「んふっ・・・ふっ・・ふぐっ・・・
んふっ・・・んんっ・・・」
再び唇を男にゆだねた妻は、長い両足を相手の太ももに絡め、動きを受け止めている。
ピチャピチャと互いの唇を味わう二人の両目は閉じられ、完全に自分たちの世界に入っているようだ。
正常位のもつ淫靡さを、思い知らされる光景だ。
「あ、あなた・・・」
桜さんの声が震えている。
既に一回、経験しているのに夫の痴態を撮影することに興奮を隠せないでいる。
僕と同じように。
「ああっー・・・」
映見の顔がのけぞった。
新藤さんの唇がバストに移ったからだ。
チュパチュパと音を立てて吸い付く唇の中で、乳首を舌で転がしているのは明白だ。
「あっあっ・・・ああっ・・あっ・・あぅっ」
映見の甲高い声が、小刻みに漏れているから。
間近で見る妻のセックス。
何度見ても、興奮してしまう。
嫉妬もあるが、こんな卑猥なシーンをみせつけられたまま、男の射精が終わるまでお預けなのだ。
不条理なルールに、押さえつけられた欲情が爆発しそうになっている。
当然、男の妻である桜さんも同じで、大きな瞳を潤ませ懸命にレンズを覗いている。
本当は、カメラを投げ出してしまいたいと思っているだろう。
横座りに揃えた白い両足が、モジモジと艶めかしく動いている。
僕はそっと、桜さんの肩を抱いた。